火鉢

「キラーさん!好きです!」

「うお!?」

突然出会い頭にカオがそう言って抱きついて来たものだから、キラーはおかしな声が出てしまった。
突拍子も無いことに、赤面して固まっていると、カオは抱きついたまま顔を上げた。

「な、突然…どうしたというんだ」

「いえ、その、恋人同士の本を読みました。どうでしょうか」

「えっ、なんだ、恋人…?」

今まで言ったことがない恋人という言葉にまた顔に熱がこもる。一体どうしたのだろうとそればかり。まだ固まって抱き返しもできないままのキラーは口をパクパクとさせることが精一杯。

「おこがましかったですか?」

「そんなことは無い、どうしたんだ」

「キャプテンが」

「キッドが?」

「キャプテンが…わたしがキラーさんを好きという気持ちよりも、キラーさんがわたしを好きという気持ちの方が大きいと言って、だからその、誤解されていては…だって、わたしの方が好きです」

赤くなってきた顔を隠すようにカオは顔をキラーの腹に埋めた。意固地なカオはただそれだけのために行動を起こして、朱を注いでいる。

「す、好きなのはだめですか」

少しか細くなったカオの声。
キッドお前の責任だ助けろ、幸せと恥ずかしさでおかしくなりそうだ。

「こんなにわたしは好きなのに、これより大きくては困ります」

腹でモジモジとカオが、うんとかわいらしいことを言っている。食べ物ならばまるっと食べてしまいたいくらいだ。いいや食べてしまおうか、とろっとそんなことを考えながら腹のこそばゆい女にだらしない顔を見られないよう努める。

しかし譲れない答えがキラーにはあった。


「おれの方が好きだと思う…」


答えるとカオはワッと顔を一段と赤くして、またキラーの腹に顔を埋めた。


一部始終を見ていた部下は「他所でやれ」とキラーに念を送っていた。今日はとても暑い日らしい。