着火

「キラーの方がカオを好きなんだよな」

「え、」

ふとした疑問であった。特に深くも考えていなかったキッドだったが、カオには大撃沈である。

「わ、わたしの方が好きです!」

「言うようになったな」

「そんな…だって、だ、これ以上は世界に無いくらいキラーさんを好きです。それなのに上をいかれてしまっては困ります」

ここに当人が居たら気絶していたかもしれないそんな告白だ。キッドは生まれて初めてキラーがここに居なくて良かったと思い、頬杖をついた。

「他の奴らも同じ考えだと思うがな」



………

「…と言うわけなのですが、わたしよりもキラーさんの方が好きなのでしょうか」

たまたま武器の手入れをしていた部下の男たちとすれ違い、カオはそんなことを尋ねていた。

正直ゾッコン首ったけなのはキラーさんだと思うのが男たちの心の内であった。真剣に問うてくるカオにクラクラしながら考え、男たちは顔を見合わせた。

「わたしのほうが…」

キラーの好きが上かカオが好きが上か、そんなことよりもそう言ってしおらしくするカオを見て、男たちは『かわいい』とか『結婚しよ』などと考えていた。
ちょっとごめんねとカオから離れて、野郎の相談が始まる。

「どう考えてもキラーさんの方がカオちゃんに惚れ込んでいるが、それを伝えるとカオちゃんのことだから本人に聞きに行くよな」

「そうだ、あんな顔で『わたしの方が好きなんです』なんて言われてみろ、おれならもう結婚する」

「結婚なんてされてたまるか、カオちゃんはみんなのカオちゃんだ。おれたちはユニコーンだ、ナイトだ、カオちゃんの純白を守るためにも正しいことをしよう」

相談、協議した結果『カオちゃんの方が好きだと思うよ』と伝えた。男たちは嘘をついた。

「よかった、やはりキャプテンの思い過ごしですよね。こんなに好きなのに、ふふ」

口に出さずともカオのオーラがピカピカとまばゆく光りながら『キラーさんだーいすき♡』と言っている。妖精か、マリア様か、天使なのか、男たちはまばゆさに目を細めた。


「どう見たってキラーの旦那の方が好きだろ」


まばゆさも、ワイヤーの一言によりぶち壊されてしまうのだが。本人に聞きに行くカオの背中を見て、男たちは膝から崩れ落ちたのだった。