かわいくなっちゃって
「キラーさん、い…いってらっしゃい、です」
チューと口付けもじもじと赤くなるカオ。
行ってくると冷静爽やかに去りながら、カオの視界に入らない所へと来るとキラーは崩れ落ちて悶えた。
「…はあ、好きだ」
好きが滝のように降りて溢れかえって来る。カオはここのところ頑張って甘えてみたり、恋人らしいスキンシップを取ってみたりする。その度に情けない顔を見せたくはないので、キリッとしているが内心では痺れまくっている殺戮武人だ。
なんと言っても『おれのカオ』なのだから。顔がまた緩んでしまう。
最近ずっとキラーの機嫌が良いと船員たちもニコニコであった。前までの寡黙で怒っているんだか寝ているんだかの殺戮武人を考えればわかりやすくて大変良いことである。
血塗れで帰ってひとっ風呂浴びれば準備万端です。帰って来たら「おかえりなさい」とハグをすることが多い。腰に手をまわしてギュッとしてくれるカオが愛らしく、疲れなんて吹き飛ぶのだ。
「おかえりなさい」
「ああ」
緊張したような顔で自分の前に立つカオ。さあ来いこの胸に!と思っていたのに、今日はカオがやって来ない。
「カオ?」
「あの…」
どうしたことかと少ししゃがんでカオに近づくと、チラリチラリとこちらを確認している。
「キラーさんも、甘えてくださいね。わたしばかりでは申し訳なく…あっ、と、その、わたしも甘えられること、きっと好きです」
いっぱいいっぱいのカオからはそんな言葉が出ていた。気が付けばカオを抱きしめていたキラーはカオの頭を撫で、目一杯カオの匂いを吸い込んだ。
「甘えさせてもらっている」
「役に立てるなら何よりです」
潰れてしまいそうなくらいに抱きしめて、このまま溶けて繋がって一緒になってしまったらいいのに。どうしようもなく愛しい女になってしまったカオの頭に擦り寄りながら好きだ好きだとばかり考えた。
ここまでは純粋な気持ち。
「キラーさんの好きなことしてください」
「えっ」
カオが善意で言ったこの一言が欲望を掻き立てた。好きなこと、好きなこと…思い切って胸に顔を埋めてみようか、押し倒してみようか、わざと見えるところにキスマークをつけてしまおうかと欲が止まらない。
「ああでも」
慌ててカオが口を開いた。パチンと妄想が弾けると、現実のカオの声に耳を傾ける。
「このままでもう少し居ても良いですか」
その後で好きなことを、とお願いされたキラーは抱きしめたままで何も言わなかった。