モーレフ

今だって何処かで戦いは続き、目的があって動いているマスターとサーヴァントもいるのだ。

その目的は様々である。


「アーチャーの方、私は特別な魔力も財もありませんが…」

「僕が欲しいのは君さ」

アーチャーは森でカオを見つけ追い詰めると朗らかな笑顔で言い寄ってきた。

「僕のアビジャグになって欲しい」

「な、なんですかアビジャグって…あの、それ…」

「おやおや。それなら教えてあげようかな!」

手首を掴まれたカオはビクリと肩を跳ねさせる。細い体に似合わず男…英霊の力はすごい。壁ドンとはこういうポーズを言うのだろうか、とてもこわい!助けて誰か!と目を強く閉じた。

竜巻のような風と光と、キンと高い音がぶつかる音がする。うっすら目を開ければ、自身のサーヴァントであるジークフリートが剣を振るっていた。


「なんだもう来てしまったのかい?……嫌だね、力押しでは君に敵わないな」

剣を受け止めながらアーチャー、ダビデは歯噛みをする。

「落ち延びることを許そう。惨たらしいものをカオに見せるわけにいかない」

「おっかないなあ。首が繋がっているうちに、僕は帰るとするよ」

金色の粒と共にダビデは姿を消した。
消失を確認するとジークフリートは剣を降ろした。

カオのことを確認しよう振り向く前にカオが背後から手をまわして来た。

「よかった、来てくれて…ありがとう」

「あ、お…いや、…」

カオがびったりと引っ付くことは想定外であったジークフリートは固まってしまう。年甲斐も無く照れてしまった自分にも驚く。

どうにか応えるべきだと考え、まわされた手を触ろうとすればヒュッとすぐに離れてしまった。

「ごめんなさい、背中はダメでしたよね。気をつけます…」

背中に周られることは確かに苦手である。

「構わない。カオになら、背を刺されても構わないと思っている」

「刺しませんけど、許してもらえているなら…嬉しいかも。またやり直しても良いですか?」

「しかし前から抱擁されたい。俺も抱き締め返すことができる」

ジークフリートが両手を広げると吸い込まれるようにカオは収まっていった。