どこで間違えたのか

「アナタから主の匂いがシマスね」

長谷部はお茶を吹き出した。
この長閑なお茶の時間は村正の一言により、長谷部には心急く時間になるのだった。

「わかるのか」

「ええ。良い匂いデスね」

長谷部に近づき村正は匂いを嗅ぐ。
それを長谷部は手で払った。

「おや独り占めデスか?」

「独り占めではない。主は皆の主だ」

「そうは見えませんね。アナタは主を独占したいのでショウ」

長谷部は村正を真っ直ぐ見た。何故かそう体が動いたのだ。

「アナタは主のことを愛しているのデスね」

時が止まったような感覚と、ストンと何かが落ちたような感覚。長谷部は恥ずかしいという感情を今一番、最大に、最高に感じた。つまり赤面してどうしようもなくなったのである。

「これはただの、いや、主のことは皆が好きなはずだ、俺はそれと同じで、だから、ち、違うはずだ」

「huhu…では、そういうことにしまショウ」