リュスィオール

「カオ」

ギュ。出会い頭すぐ握られた手、何も前触れなしにジークフリートはカオの手を握った。

「ジークフリートさん、なにか…?」

「用事は無い」

「私は紅茶を飲みたいのですけれど」

「構わない」

歩き出せばそのままジークフリートはついて来る。手を繋いだままのジークフリートを見ればいつもの仏頂面で、何を考えているのやら。

「ジークフリートさん、も、紅茶飲みますか?」

テーブルにたどり着くなり尋ねると「これで良い」とジークフリートは手を離さずそのまま隣に座った。

「飲み辛いですよ。どうしちゃったんですか」

「どうもない。カオがそう言うならば離そう」

手を離すとジークフリートは椅子を動かしてますますビッタリ隣に移る。真横で直視をするジークフリートに恥ずかしくなってカップを置く。

「何か話してもらわないと…」

「近くに居たいだけだ」
 
これは給仕たちの話だが、ガウェインが帰ってからというものジークフリートはカオにベタベタで、妬いているのではないかとか、盗られそうだと思っているのではないかと噂されていた。

「まあまたあんなにくっついて微笑ましい」

「なんだか圧を感じているような見えますけども」

紅茶の席の二人を見て、また噂に花を咲かせていた。



「カオ、もっと側に…」

「もう寄らないでください!おかしいですよ!」