違いのはなし

今日はベリー狩りである。
その実は大きくとても柔らかであった。

地面に落ちたその実は滑りやすく、当然のようにカオは踏んづけて滑った。滑ったカオを受け止めようとしたジークフリートはさらに滑り、それはもう玉突きのように被害は増えていった。ベリーと泥と草まみれになった二人はぐちゃぐちゃだ。

「ジークフリートさん今日は帰りましょう、ベトベトですもう…」

「助けられずすまない…」

ぐちゃぐちゃベトベトの体を引きずりながら二人は進む。歩く度にベリーの酸い匂いがした。

そのうちに、ジークフリートは何かを見つけたようで、小走りで先を行く。泉を見つけたのだ。手袋を取り指先を水に入れると然程冷たくもなく、水も透き通っている。これ幸いとカオを呼んだ。

「カオ!泉だ、洗って行こう」

「ああ良かった、手も顔もベトベトで…」

勿怪の幸いとカオの心が平らかになった途端に、ジークフリートは上から服を脱ぎ始めた。

「な、な、なに、なにをしているんですか!」

「水浴びだが…?カオも浴びると良い」

恥じらうことも無くジークフリートは脱ぐことをやめない。カオはジークフリートの下半身が顕になる前に背を向けた。

「何考えてるんです!ジークフリートさんのばか!へんたい!まともな人だと思っていたのに!」

「なぜ浴びないんだ。汚れてしまったのに…」

ジークフリートは一人汚れを落とす。何故カオが水浴びをしないのか心底不思議で、ジークフリートにはわからなかった。

「男性と水浴びするわけないじゃないですか!裸で!羞恥心くらいあります!」

「な、そうだったのか…どうりで日夜一人での湯浴みが続くわけだ」

「ジークフリートさんの時代では混浴が当たり前だったかもしれませんけど、ここでは違います!」

もう先に帰ります!と叫びカオが足を踏み出すと、ジークフリートは急ぎ泉から上がりカオの手首を掴む。待って欲しいと思わず手を掴んだのだが、真っ裸のジークフリートに耐えられなかったカオは力いっぱい平手打ちをした。



帰って来たジークフリートの頬には紅葉が咲いているし、カオは何故だか口を聞かないし、どうしたことかとヒソヒソと話が絶えなかった。