ルネッタ
「どうしてこうなるの」
フルーツズコット作りの日。カオが作ったものはまるで潰れたカボチャのようになった。匂いに誘われて、ジークフリートがやって来るとカオは慌てて潰れカボチャを隠した。
「ジークフリートさんはここに来ることを禁止したはずです!」
「すまない、つい…」
「もう、何を食べても美味しいとしか言わないんですから!それに、私より上手く作るんですあなたは!もう、もー!」
膨れっ面をしながらピシピシとヘラでジークフリートを突つくカオを見て、手伝っていた給仕は相好を崩すのだ。
「ジークフリート様のために頑張っていらっしゃるんですから、見られちゃまずいんですよねカオ様は」
「ハッ…そうなのか?」
「い、言わなくて良いことです!」
頬を染めてカオはまた慌てて、詳しく聞こうとするジークフリートを押し返した。
「カオ、俺は待つことにする。後で色々と聞くことにしよう。その…何を作っているのか俺にはわからないが、楽しみにしている」
「ジークフリートさんにあげるなんて言ってません、私は私のために作っているのです」
そんなやり取りを微笑ましく給仕は眺めていた。
どうせジークフリートに渡すのだから素直にすれば良いのに、少しカオは意固地なのだ。
そして何度目かのズコットは少し成長したカボチャのような仕上がりになった。成功したとは言えないが、一番出来が良いものをカオはジークフリートに食べさせるのがいつものパターンだ。
「うまいな、カオが作るものはいつもうまい」
「よかったです。ジークフリートさんが何でも食べてくれる人で」