3月14日

「カオは何を渡せば喜ぶだろうか」

給仕たちに相談を持ちかけたジークフリートに皆がパチクリとした。ホワイトデーに贈る、カオへのお返しの相談らしい。

少し恥ずかしそうにしているジークフリートはまるで乙女のような表情をしていた。柄にも無くこういう顔をするのだなと給仕たちは微笑ましく思った。

作戦会議だとアイデアを出し合う。
手作りは自分より上手く作るジークフリートにムッとしてしまうかもしれない、花はいつも渡しているものだし、歌でもプレゼントさせようかとまで話が出た。

結果的にジークフリートが渡せば何でも喜ぶのではないかという答えになる。

ジークフリートはタルトを手作りして返したいと、作り方を習うことになった。
すぐにジークフリートは綺麗なタルトを作りあげ、綺麗にラッピングもしてしまった。恐ろしく器用なところを見せて、皆「どうしてこうも違うのだろう」と気の毒に思うのであった。


「これを私に?」

「ああ、受け取ってもらえるだろうか」

カオは綺麗なラッピングのプレゼントを受け取ると、中身を確認する。

「美味しそうなタルト…作ったのですか?」

「ああ。買ったものの方が良かったのなら取り替える」

「そんなこと!とても嬉しいです。…でも、どうして手作りを?」

カオは素直に疑問に思って聞いたのだが、ジークフリートはそんなことを聞かれるとは思っていなかったようでドキリとした。また少し赤くなり照れながら、ジークフリートは答えを出す。

「カオが、いつも俺のために何かしてくれようとする姿が好きだ。俺もそうなりたい。目で確認はできないが、そういった心をカオに渡したかったのだ」

そうつらつらと話すと、ジークフリートは耐えられなくなったのか霊体化してしまった。消えるなんてずるいですよというカオの声は届いただろうか。

タルトはカオがそれは赤くなりながら食べていたという。