ピカピカ

春の嵐。
雨はぬるく、勢い良く。風は庭のバケツを吹き飛ばした。

雷はいくつか遠くに落ちた後、すぐ近い所でドオンとひとつが落ちた。地鳴りのような音と共に、電気が消えた。どうやらどこかで電気系等のトラブルらしい。真っ暗な中で、あちこちでロウソクを探す声が廊下を駆けて行った。


水を飲もうとキッチンへ向かっていたカオは手探りで辺りを探る。ああなんて暗いこと、カオは自分の足すら見つけられなかった。

「カオ」

「ヒャ!」

肩をポンと叩かれて素っ頓狂な声をあげてしまった。カオは驚き声が出ない。恐る恐る振り向くと、いつもの彼が立っていたのだ。

「ロウソクを持って来た」

「ジ、ジークフリートさん…」

ロウソクの火のおかげでジークフリートの顔が確認できた。カオはとても安心したが、それは火のおかげなのか、ジークフリートの顔を見たからなのかはわからない。

「よく見つけられましたね」

「たまたまロウソクの近くに居た」

「私を、ですよ」

ジークフリートは少し嬉しそうに笑って、カオの手を取った。側の座れるところまで案内すると、カオと共に腰掛けた。明るい火を求めて、普段よりずっと近くになる。

「カオ、寒くはないか」

「何故でしょう、ポカポカします」

「俺もだ」

ジークフリートの肩に頭を預けて火を見つめる。
暗い嵐の中なのに、何故だか落ち着いて心臓がトクトクする。カオがジークフリートを見上げれば、また少し嬉しそうにジークフリートは笑った。

「今寝てしまったら気持ちいい気がします」

「そうするとまたカオの…いや、何でもない。存分に寝てくれ」

「また、何ですか?……ん、起きたら聞きます」

カオの寝顔を見て、ジークフリートは三度目の嬉しそうな顔をする。電気が復旧してもしばらく、寄り添い幸せを噛み締めて「寝ても頼られていることが嬉しい」とジークフリートはカオを思うのだった。