ベーコン

初夏の風。
葉が青く茂り、どことなく春の終わりを感じさせた。


「なっ………」

そんな季節の変わり目、窓から覗き見をしてジークフリートはショックを受ける。

外に見えるのはカオとカルナだ。前に契約をしたおかげで、週二回おいしい牛乳とカルナが早朝にやって来る。それが何度か続いた頃、庭掃除をしていた給仕からどうもカオがカルナを楽しみに待っているらしいと話を聞いたのだった。

本当なのかと朝から外を見張っていたジークフリートは、確かにカオとカルナが合っているところを確認した。仲良くすることは良いことだ落ち着けと様子を見ていたところ、カオがカルナに何か手紙のようなものを渡されているところが見えた。

なんだあれは、まさか恋文か?と窓に張り付きショックを受けた。

疑ってはいけないと牛乳を抱えてどこか楽しそうにウキウキと戻ってきたカオに、何を貰っていたんだと尋ねた。すると、

「み、見ていたんですか…これは秘密です」

そう答えてカオは手紙を背後に隠した。2回目のショックをジークフリートは受けた。秘密にするようなこと、やはりラブレターなのか?とジークフリートは岩でも背負ったような重たい気分になってしまった。そんなことをする男には見えないのだが。

昼を食べる時も、カオはいつもより早く食べ終わり隠れるように部屋へ入ってしまった。一体なぜ、なんなんだ、何を貰って…もんもんと考えていたジークフリートは紙ナプキンを口にしてしまっていた。紙を食べてるところで皆が、何かあったのだろうなと察したのだった。



「カオ、教えて欲しい」

かしこまって部屋にやって来たジークフリートに目をぱちぱちとさせる。

「何か困りごとですか?」

「……困っている。俺に秘密を作らないで欲しい」

カオはすぐに、朝のことだと気がついた。それならとカオはカルナにもらったものをジークフリートにそろそろと渡した。

なんてことない、それはただのレシピである。

「変わった恋文だ」

「な、何を言って!カルナさんには、お菓子のレシピをご主人から教えて頂いただけです!」

レシピの紙をジークフリートから取り上げると、カオは真っ赤になってモジモジとする。

「お…美味しいものを食べて貰いたいと思うと、色々と情報が必要なんです」

「そうかすまない…とんだ早とちりをしたようだ」

「良いんです。また食べて貰えれば、その……だから、いっぱい食べてください」

気が付けばカオのことを無言でジークフリートは抱き締めていた。照れた顔を見られないように、言葉が出ない代わりに、潰れないようにカオを包んだ。