マイガール
ガウェインが訪ねて来たのは、ちょうどクッキーが焼き上がった頃だった。
「おや、こちらで甘い香りがするとは珍しい」
にこにこ太陽のように笑いながら、ガウェインは調理場へと顔を出した。カオも突然の来客に喜び、紅茶の準備を始めた。新しい特別な紅茶を持って来ると嬉しそうに部屋に向かうカオ。そしてその様子を目で追うと、一人でコソコソとしている男を見つけてしまうのであった。
「失礼、コソコソと何をしていらっしゃる」
「お、俺は調理場に出入り禁止なのだ、サーガウェイン」
コソコソと調理場を覗いているジークフリートをおかしく思いガウェインは問い掛ける。出入り禁止とはどうして、何があったのだろうか。それとも、つまみ食いでも癖なのだろうか。
「私はよく幼いカオとここに立ったものです。貴方は何故それを許されない?」
「カオが…その、俺の方が上手く作るのだと言い張るんだ。そんなことは無いのだが…」
「当然です!レディカオの料理は私直伝の料理法なのですから!」
ガウェインは自信満々鼻高々にそう話した。そうなのか?と給仕長に問えば、苦笑い。その笑みの答えは夕食にてわかることになる。
「マッシュした芋です」
皿にドカ!と並べられたマッシュ物に、ジークフリートは何かを納得したような気がした。
「ジークフリート様、これがカオ様の原点なのです」
そう話す給仕長に頷くと、ジークフリートは潰した芋もうまいうまいと食べきった。また少しカオのことを知れた気がすると嬉しくなったジークフリートはガウェインともよく話してみたいと思うのであった。