ずっと
腕を骨折したジークフリートは参ったと八の字眉毛。
「強かったんですよジークフリートさん!見直しました、とても!」
「まあまあフフ、それは良かった」
お茶を飲みながら話しているカオは朗らかで、少し自分が誇らしい。負けてしまったのも腕を折ってしまったのも事実だが、カオを喜ばすことはできたのだから。
庭に咲いている黄色いバラが綺麗だった。そんな日。
カオはお茶を飲み終わるとすぐに駆け寄って来た。
「ジークフリートさん、お祝いをしたいのです。何か欲しいものはありませんか?」
「それは、何でも良いのだろうか」
「できる限りは用意をしましょう。お酒でも、お菓子でも、新しい洋服でも」
ジークフリートには答えがあるようで、考えている……というより言うことを躊躇っている様子が窺えた。ちらちらとカオを見て、やめて、また見ていた。カオからすれば、そんなに高価なものが欲しいのだろうかと少し不安である。
「あの、私に言えないようなものであれば他の者に相談を…」
「いや、その……」
見上げていれば、ジークフリートは何か覚悟をしたようでゆっくりと行動に移した。
チュッと唇を重ねるという、言葉の返事では無い意思表示をして。あまりに突然なことでカオは手をグーにしたまま赤くなる。それよりも赤くなったジークフリートは口を動かすまで2秒かかった。
「カオが、1番欲しいものなんだ」
「は……え、な、」
「いくらか貰っても良いだろうか」
全部あげます、とカオの本音は聞こえたか聞こえなかったのか。全部、絞りきれなくなるまで献上しますとカオは思いながら泣いていた。これもまた突然だったので、ジークフリートはさぞ慌てたことだろう。
「嫌だったのか?!すすすすまない!」
えずくように泣くカオはしゃがみ込んでうまく返事ができなかった。大好きで泣くのは初めてで、止め方もわからない。カオはしばらくジークフリートを慌てさせた。
誤解のないように後でカオが抱き締めたのだが、抱き締め返す腕が無くてジークフリートはまた慌てたらしい。