つる
「治ってきましたね」
「キューイ」
あの竜の子は翼を怪我してうまく飛べずに木を折ったり、落石を起こしていたらしい。
カオが作った薬を運び世話をするために通って数日。今日は竜に詳しいゲオルギウスも遠い町から様子を見に来ていた。
「時期に飛べるようになるでしょう。ただ問題はこちらのようだ」
ゲオルギウスが顔を向けた先のジークフリートは、またツノの翼と尻尾が出てきてしまっていたのだった。
「いやはや珍しい。竜の血がこのような力を持っているとは…これはよく起こるのですか?」
「今回で2回目です。ジークフリートさん、大丈夫ですか…?」
「ウウ…」
ゲオルギウスとカオには苦しんでいるように見えるジークフリートであるが、内心では人前でカオを抱きかかえたくてたまらないことを我慢していたのだった。
「あなたにも効くかどうかはわかりませんが、竜種はここを撫でると落ち着きます」
ゲオルギウスはそう言うとおもむろにジークフリートの顎の下を撫でた。最初は肩を跳ねさせたジークフリートも、すぐに気が落ち着いてきた。カオはその様子を見て猫みたいだと感懐した。
「逆鱗…がこの方にあるかはわかりませんがそこに触れないように撫でるのがコツです。弱点は尻尾の付け根、これこのように」
「ギャ!」
ゲオルギウスがジークフリートの尻尾の付け根を押さえるとジークフリートは飛び上がった。まるで猛獣を取り押さえたかのようにジークフリートの上に跨ると、ゲオルギウスは尻尾の付け根を押さえつけながら足を固めた。その後も竜種に関してのアドバイスは続く。
「ジークフリートさん…大丈夫ですか」
「ハア…ハア…」
疲れ切ったジークフリートは膝をついて息を荒くした。ゲオルギウスは教えられたことを誇らしく思ってどこか輝いている。
「それから、竜は宝をねぐらに溜め込みます。その習性も教えておきましょう」
「ねぐらに…」
以前のことを思い返せば、あれはそういうことなのかと臆見する。
「カオ、今日は離れていてくれないか…」
そんなことを言うジークフリートの顎下をこちょこちょと撫でれば、ジークフリートはウウ!と情け無い声を出す。そしてまた猫みたいでかわいいとカオは少し嬉しくなった。