ブルー

今日は夜、恐い映画を見ていた。見る前のワクワクした気持ちはどこへ行ったのか、今は何でもない影まで恐いものに見えてしまう。

「ジークフリートさん、今日は一緒に居てくださいね!絶対、絶対ですよ!」

「ああ、わかった」

恐がりのくせにどうして見てしまうのだろう。ベッドの布団に足だけ突っ込み、二人で半身を起こして並んでいた。ピッタリひっついているカオを見てジークフリートは少しだらしない顔になる。こんな風に神輿を据えて過ごすことが彼は好きだった。

「カオは、良い匂いだな」

「またそんなこと」

ゆくりなくも手が触れ合って、ビクリと肩を跳ねさせるカオにジークフリートは微苦笑をうかべる。俺の手だと口述され、カオは知っていますと少しむくれた。そのまま指を絡ませて握れば、カオは顔を合わせなくなった。しかし頬に手を添えてやるとカオの顔をこちらに向かせることは掌を返すように容易だった。チウと口を吸えばカオの息が漏れ、また口を吸わせた。

「そういえば映画ではよくこういう時に何か起きたり…」

「そう、なのか?」

「……」

おやすみなさいと布団に潜り込むカオ。続きはしないのかと喉元まで出かけたが、ジークフリートは言葉を飲んだ。もう今日は何もできまいとジークフリートは布団に身体を潜り込ませる。

「ジークフリートさん、良い匂いがします」

「ふふ」

「ほら、言われるとおかしいでしょう」

「少しくすぐったくはあるな」

カオはジークフリートの胸に鼻を押しつけて夢へと入っていく。自分は夢までついては行けないが、目が醒めるまで側に居よう。ジークフリートはカオの耳に髪をかけながら目を閉じた。