テンカブツ
ランちゃんがカオの好きなタイプについて情報を掴んだらしい。
「王子様みたいな人が好きらしい」
「ガーン!」
本当にガーン! と言う人をランスロットは初めて目の当たりにした。好きなタイプを聞いたヴェインは膝から崩れ落ちてしまう。
「王子様みたいな……というと、パーさんみてーな奴とか?」
「俺はジークフリートさんみたいな人だと思う」
二人とも似ても似つかない。ランスロットは王子様のような容姿をしていると思うが、自分は王子というより家来Aだ。マントとか王冠とか似合わないだろうなと王子様の自分を想像する。
「諦めるなヴェイン! 今日から王子様を目指そう、俺も協力する!」
「ランちゃん……!」
それからランスロットは花を買いに行ったり、新しくヴェインの服を仕立てるように依頼したりとあちこちに走った。ピシッとした服に、花を持たせてヴェインの背中を押す。
「カオ、今日は……えーっと、太陽が綺麗だな!」
カオの前に現れたヴェインは明らかに普段と格好が違うし、不自然に花を持っていておかしかった。カオが目をぱちぱちさせてキョトンとしていると、ヴェインはどこに目線を合わせていいかわからず明後日の方向へと顔を向けていた。
「ヴェイン、これからどこかへ行くの?」
「いやどこにも……」
「だって今日のヴェイン、いつもと違う」
それはそうだ。これで違いがわからなければよっぽど興味がないということである。
「ちょっと頼まれて、王子様〜みたいな格好をしているんだ。ほら、ランちゃんに合わせてさ!」
「で、でも……わたしはヴェインのこと、いつも王子様みたいだと思っていたけれど」
変えなきゃいけなかったの? と尋ねるカオに花を突き渡してヴェインは走り逃げてしまった。