かみいろ
今日はひよこ班との稽古。
午前中に目いっぱい動き剣を振ったひよこたちはクタクタと座り込んでいた。
アーサーの腹の虫が鳴くと、ヴェインはにこにこと握り飯を差し出す。少しこの時間はピクニックみたいだと呑気なことを考えてしまったのはモルドレッドも同じで、皆でもりもりと昼食を腹に詰め込んだ。
動いた後にいっぱい食べて、横になっていればまぶたなどイチコロである。アーサーはウトウトと夢の中へと入り込んでしまった。
「んん……」
「あっ」
アーサーが目を開けると、自分の頭を撫でている女性と目があった。アーサーは慌てて飛び起きると、撫でられた頭を自分の手で触った。頭に何か付いていたわけではない、ただ撫でられていたのだとわかると心臓がますますバクバクした。
「ご、ごめんなさい。様子を見に来たら皆寝ていて……ブロンドの髪が好きで、つい……」
アワアワとアーサーは声にならない恥ずかしさと、その反面何とも言えない嬉しさから口をぱくぱくした。カオもついやってしまったことを恥じて、情け無いと俯き顔を赤らめていた。
「これ、ヴェインに渡してくださるかしら! 傷薬、足りなくなるかもしれないからって」
カオはアーサーに薬を手渡しすると立ち上がり、服のシワをぱっぱと直した。早くここから立ち去りたいと思ったのか、カオは走って帰ってしまう。
「え!カオが来たのか?!」
「は、はい、これを頼まれて……すぐに帰ってしまいました」
「俺に一声かけてくれたら良かったのにな……はあ」
俺の頭を触って恥ずかしくなって飛んで帰りましたなんて言えば、副団長はどんな顔をするのだろう。アーサーは今日のことを誰にも言わずに墓まで持って行く決意をした。
「ブロンド……」
アーサーはブツブツとらしくもなく独り言を言っているヴェインを見て、もしかしてと思った。ブロンド、そうか!きっとそうだ、ブロンドが好きなのはヴェイン副団長が好きだからだ!
「ヴェイン副団長!カオさん、ブロンドが好きだって! だから俺にこれを頼んで……」
「な、なに! ということは……」
そうですきっと好意を向けられています! と言おうとしたアーサーよりも早く、ヴェインは「カオはショタコンだったのか……」と頭を抱えてしまった。
副団長はこういうことには疎いのかもしれない。アーサーはどう声をかけて良いものやら、ふらふらとするヴェインを見送った。