たけやぶ
「今日は一緒に居ないんだねぇ」
「当たり前だ」
会議の後にそうシスに声をかければ、プイとそっぽを向かれた。シエテは連れて来て良かったのにとにやにやと笑っている。それがシエテにとって普通の笑顔なのか、なにか思うことがあって本当ににやけているのか。
「カオちゃんきっと首を長くして待っているね、どう?何かお土産でも」
「遊びじゃないんだ。土産など要るか」
「じゃあ俺はお花かチョコレートでも買って帰ろうかな」
「グ……それなら俺が渡す!」
そんなこんなあって、どちらも買ってしまったシス。なぜ自分は今、花一本とチョコレートを手に持っているのだろう。どうしてシエテに任せなかったのだろう。シスは自分に問いかけた。これではお土産というよりプレゼントのようだと恥ずかしくてたまらない。ドアの前でウンウン唸って悩みながら、どう渡そうか、いっそのこと無かったことにしてしまおうかと独り言をブツブツ。
「シス、おかえり」
シスの背後からカオは声をかけた。シスは飛び上がるように驚き、慌てて後ろに花とチョコレートを隠す。部屋に居ると思い込んでいた相手が外に居たとは予想外である。
「どうしたの、何をかくしたの?」
「い、いや何もない!」
「それなら、わかった。シスおかえり」
フヘ、と笑うカオ。カオは笑い方はとても不器用で、くしゃくしゃとしている。
「シスにあげる。クッキー、団長さんがたくさんくれたから」
すっかり目が泳いで気がつかなかったが、カオも包みを持っていたようで、ズイとそれを押し付けられた。
「甘いものは笑顔になって、げんきもでるって」
「そうか」
「シスおかえり」
「ただいま」
くしゃくしゃとまたカオは笑顔になった。
結局シスはクッキーを貰うだけもらい、自分のチョコレートも花も渡すことはできなかった。