うらめしや
シスが居ない日。カオは留守番だった。
「カオちゃん、クッキー食べない?」
一人で静かにしていたカオに団長はすすんで声をかけた。クッキーを抱えて隣に座ると、カオは黙って頷いてクッキーをひとつ齧った。
「甘いものは人を笑顔にするよ、疲れも取れて元気も出て、良いことがたくさんある」
「たくさんほしい」
「美味しい?気に入った?」
カオは首を横に振った。
「あ、これはおいしいです。でもたくさんほしいのは、シスにもあげたいから。シス笑わない、元気ないのかも……」
普段は仮面をしているシスに笑顔だなんてわからないのだが、然すれば団長はいっぱいいっぱいクッキーを用意してあげようと思った。
「……というワケさ!」
威張って団長はシスにクッキーの話をしたのだ。シスはフンとすまして、クッキーを食べる。
「クッキーはカオちゃんと食べてよ!」
「い、良いだろう! いつ食べるかは俺の勝手だ!」
バリバリと意地になって完食するシスの背中をバシバシと団長は叩いた。
「チョコもあるじゃないか! 一人でこっちを食べたら良いのに!」
目敏く団長は渡し損ねたチョコレートを手にしていた。カッと熱くなったシスはチョコを取り上げて「これはあいつのだ!」と思わず叫んでしまう。
「あいつって誰! なにそれプレゼント?!」
「ちちち違う! ただの土産で、別に! い、いいいだろう!」
目角を立てるシスに団長は渡すなら早い方が良いと鼓舞する。
「時間が経っちゃうと、お土産ってことにできないよ。早く渡して普通にしていれば良いのに」
「それもそうだが……」
「照れ屋さんだ」
肘でシスをつつくと、団長は部屋から追い出されてしまった。