ヘンカ

「お、おはよう!」

いつになく勢いのついた挨拶に、出会い頭からたじろいでしまう。久しぶりだからだろうか? そんな疑問を抱きながら「おはよう」と返す。

「きょ、今日はどのくらい居られるの……?」
「あまり長居はしない」
「疲れた、でしょ、はっ話すの後でもいい」

ぎこちなく話をしてカオは俯きがち。もともとあまり話すことは得意ではないカオだが、今日は特に辿々しい。人と話す経験が少なかったと聞くが、それにしてもおかしな様子だ。

「具合でも悪いか」

カオは首を横に振った。様子がおかしいと伝えれば、カオの目はあっちへこっちへと泳いでいる。

「ここに来ていろんな人に会ったでしょ、それで、女の人たくさん知った。わたしのしゃべりかた、女らしくない、から……れんしゅうしてる、ところ」

カオが服の裾を握りしめてぽそぽそと喋った。練習? 変える必要があるのかと首を傾げていれば、カオは顔を赤らめて言った。

「女の人らしくなって、シスに好かれたい……」

まさかそんなことを言われるとは思ってもなかったシスは、ホ、のカタチに口をぽかっと開けた。

「れんしゅうするのだめ?」
「か、勝手にしろ」
「うん、かってにする! ふへへ」

シスの腕にぎゅーとしがみついてカオは、頭をこすりつけてくる。それから今日の出来事を話し始めた。



「しばらくそのまま続いた、まったくアイツは……」
「ウンウン、シスくんの惚気話もっと聞きたいなー!」
「なっ……惚気だと!」
「好かれたいって言われても困るよね、もう好きだよって言ってあげた?」
「ば、馬鹿な誰が!」

シエテはシスに怒られながらも笑っていた。仲間と恋話できるなんて嬉しい! と言うと勘違いするなと言わんばかりに髪を引っ張られた。