カタツムリ
「カオ!」
シスが叫び、カオを庇う。ピュンと軽そうな音をさせたそれはシスの横腹を2発3発と撃ち抜き、真っ赤な血をだくだくと流す要因になってしまった。
今日肩をぶつけて因縁をつけて来た男が撃ったのだ。
「シス!」
「シスくん!」
突如現れたシエテにシスは目を向ける。シエテが何故此処に、そんな疑問を抱きながらシスの意識は遠のいていった。
「う……」
ぼんやりと目を開けたシスは、ぼうっと天井を見つめた。ここで俺は何をしているのか、布団の中なのだから寝ていたのだろうが、身体が刺すように痛い。手を動かそうとすれば、何かが自分の手を掴んでいることがわかった。
「シス!」
「カオ……?」
カオがしっかりと手を握り締めている。ああそうだ、俺は撃たれたのだ。記憶がぼやぼやとだが思い出され、腹の痛みの原因がわかった。
「カオに怪我は無いのか」
「ない、シスが庇ってくれたから平気」
「よかった」
カオはシスの手を頬擦りするようにして、シスが動いている、生きていることを確かめた。
「よくない、シスが痛い思いをしたのに」
「カオに何かあった方が俺は嫌だ」
「わたしもシスに何かあったら嫌、シスのことすきだから」
スンとカオは鼻を鳴らす。もう片方の手を布団から出し、シスはカオの手に重ねた。
「同じだ。俺もカオが好きだ」
優しくシスが微笑むとカオはぱちぱちと瞬きをした後、じっとシスの顔を見つめた。
「シス、そんなふうに笑うんだ」
「へ」
シスは自分の顔を触る。ペタペタ、している、つまり仮面が無いということ。
「ひ、ひああっ!」
叫び声は響き渡り、その声を聞いたシエテをバタバタと病室へと呼び寄せた。
「シスくん?! 目が覚めた? それよりさっきの悲鳴は?!」
「シエテ、貴様どこから……ハッ! そうだ、あの時何故お前はあそこに居た、お前の差し金か?」
「あの変な人は違うよ! そりゃ最初は手も繋げてたしナイス変な人だったけどさ、こんなことになるなんて思ってなかったよ〜!」
「お、おおおおまえはいつからつけていたんだ!」
しまったとシエテが自身の口を手で塞ぐと、シスはワナワナとしながらシエテを睨みつけた。生きて帰れると思うなよと言わずともオーラでわかるようなシスに、シエテは後退りする。
その後点滴も引き抜いて暴れたシスは傷口が開き、たっぷりと麻酔を打ち込まれたという。
患者を増やすなと怒られるシスの隣のベッドには、包帯ぐるぐるになったシエテがしばらく厄介になるのだった。