ひる
「え?! シスくんにお弁当を?!」
コクリコクリとカオは頷く。シエテは口を押さえて、涙ぐみながらそうかそうかと同じように頷いた。
「お兄さんが一緒に作ってあげる……さあ! 頑張って作ろう!」
そんな計画を立て、シエテとカオはお弁当作りの為に買い物へと繰り出した。あれが旬だ、あれがあれば彩りが良いだとアドバイスを聞きながら弁当に詰めるものを考えていく。
一方でその頃、シスはカオを探していた。普段なら帰って来てすぐに会えるはずなのに、どこにも姿を見せないカオ。思い当たるところを探し終えて途方に暮れているところ、たまたま通りかかったカトルが「シエテさんと出かけて行きましたよ」と声をかけてきたものだから大変なショックを受けてしまう。
シエテとカオが帰って来たのは夕方すぎて、もう一番星が見えてきた頃だった。
「ただいまー」
シエテが買い物袋を持って意気揚々と帰って来たらしい賑やかな声。ピクリと反応したシスの耳は、心をざわつかせながらすぐにシエテの声の方へと足を動かした。シエテが帰って来たということはカオも……! シスの心はそればかりだ。
「カオ!」
「シス! ただいま」
「シスくん、やーやーお出迎えかい?」
ムッとシエテを睨み付けるシス。勘のいいシエテは、またこれは誤解を生んでいるなと苦笑いをした。
「俺とでは駄目だったのか……?」そうカオに聞けたら良いものの、シスには聞く勇気がなかった。モダモダとしているうちに、二人は自分のことなど見えていないかのように話し込みながらさっさと向こうへ行ってしまった。
シスはしょぼくれて部屋で落ち込みながら朝を迎えた。今日は任務に出てしまう日だというのに、カオとあまり居られなかった。それだけで情けないことに元気が出ない。嫌われたのかもしれない、そう考えてシスはそっと任務に行こうとした。
「シ、シス! まって!」
「カオ……?」
慌てふためいてやって来たのはカオだった。慌ててどうしたのだとポカンとしていれば、腹に押し付けるように包みを渡される。
「お、お弁当……作ったの、持って行ってくれる?」
「弁当……?」
『弁当』と呼ばれた包みを見て、またカオの顔を見た。
「あ、ありがとう……ま、まて! カオが作ったのか? これを、か?」
「うん、うん」
「だ、大事に食う」
その日の昼、シエテがわざとらしくにやにやと声をかけてきた。
「今日はお弁当持ってるんだねー」
「やらんぞ」
お弁当を隠し、シスはシエテをギロリ。
「カオちゃんの愛が詰まっているからね。俺には食べる資格無いんだよー」
「か、からかうな!」
「残さないでね」
残すものか、とバクバク箸をすすめるシスをにこにこと眺めるシエテ。赤い顔して美味しく食べるシスのことを帰ったらカオに報告しようと考えている。