正月

「今年はどう過ごすんだ団長」

シスは毎年恒例の質問をした。正月が来たのだ。
シスは正月など行事やイベントをよく知らない為、団長に聞いてはその通りに過ごしている。初詣や寝正月、言われるがままだ。

「お正月、わたしも知りたい!」

今年はカオもどうするのかと尋ねてきていた。晴れ着をカオちゃんに着せてあげたいなとか、凧揚げをしたいなとか、色々考えてはいたのだが、いざ二人を目の前にすると欲は深くなるものである。

「シス、知ってる? お正月は仲良くしたい人とずっと手を繋いでいないと、来年までに別れちゃうんだよ」
「な、そうなのか…?」

グランは嘘をついた。仲間に嘘をついた。
シスとカオは顔を見合わせて、困っている。

「俺は、別に気にしない……まあ、なんだ、その、カオが気にするのであれば、繋いでおいてやる」
「うん! ふへ、シスと繋ぐ!」

先に切り出したのはシスで、合意の上で二人が手を繋いだ。騙されるものだなと笑いそうになったが、バレてしまうのでなんとか堪える。正月のしきたりと思っている二人だが、側からみればただただいちゃついているだけ。今日はどうなるんだろう、とにこにこしながらグランは新年の挨拶回りの為に二人から離れた。


「ちょっと団長ちゃん! なんか、なんかシスくんとカオちゃんがおてて繋いで艇を歩いてるんですけど?!」

昼過ぎに慌ててやって来たのはシエテで、手を繋いでいる二人を見たらしい。事情を話せば、嘘だなんてこと知れたらシスくんに殺されるよとシエテは苦笑い。

「あんなに真剣に信じちゃうとは思わなくてさ。それにしてもまだ守ってるんだ。かわいいねえ」
「かわいいけどさー後がこわいよー」



「カオ、良い正月……だな」
「うん」
「今年も、その、よろしく……」
「うん、仲良くしてね、シス」

初日の出……ではなく、正月の初日の入りを眺めながら二人は誓い合う。この後グランの嘘がバレると、それはもう怒り狂ったシスがグランに技をかけていた。