間違い電話

『今日はゴンベを捕まえられて助かりました! カビゴンに進化した姿は見たいけれど、食費がたいへん』

そのメールに添付されたのは、大食いするゴンベと笑っているカオの写真。スマホロトムが撮ったのであろうその写真はとても楽しそうだった。

「カオさんの写真……」

保存、保存っと。マクワは本当に保存したかと疑念を繰り返し、3回も写真を保存してしまった。

今日は念願のゴンベを捕まえることができたカオ。それにはマクワが付き添い、サポートしていたのだ。ゴンベを抱き上げて……抱き上げようとして断念してカオはゴンベを抱き締めて喜んでいた。

最近はお弁当の配達だけではなく、プライベートで会うことが増えてきた。ポケモンを言い訳にして、だいたい山へ川へと出向く。本当は街でデートのようなことをしたいのだが、ファンの目があるためにそれはできない。もっと近寄ることができたら……

“でんわロト!”

「えっ! あ、はい!」

考えごとをしているところ、突然の着信に慌てているとスマホロトムは勝手にピッとボタンを押して電話に出てしまった。

「は、はい。どちら……」
『ごご、ごめんなさいマクワさん!』
「え! あ! カオさん!?」

思わず背筋を伸ばす。バクバクと準備ができていなかった心臓が脈打ち大太鼓。メールのやり取りはあったものの、通話はしたことがない。ロトムがアドレスだけでなく、間違えて電話番号まで交換してしまっただけなのだ。

『ゴンベがスマホを口に入れちゃって! そしたら間違えて、電話がかかってしまって……すみません』
「間違い、ですか」
『気をつけます、それでは……』
「き! 切らないで!」

思わず大声で、スマホを両手でガッチリ掴む。

「まだ話したいと思っていました。話しても、良いですか」

スマホの向こうで、小さく『はい』と聞こえた。電話で良かった。今きっと自分は真っ赤で、情け無い顔を晒しているに決まっている。