間違いの裏側


今日はゴンベを捕まえることができた!
マクワさんに手伝ってもらってだけれど。


カオは悩んでいた。今日の御礼のメールをしたいが、あまり堅苦しくなると嫌がられてしまうかも……でも馴れ馴れしい文も、違うような……

「ええい! 送ってしまえ!」

『今日はゴンベを捕まえられて助かりました! カビゴンに進化した姿は見たいけれど、食費がたいへん』

“そうし〜ん!”とロトムが画面を見せる。そこにはメールと、大食いするゴンベと大きな口を開けて笑っている自分の写真が添付されていた。

「ああ! な、なんで写真まで! よりにもよってそんなはしたない写真を!」

カオは布団を頭まで被った。恥ずかしいあんな写真、変な女と思われてしまったかもとグズグズ。

“めーるろと〜!”

ああこわい。そっけない返事だったり、怒られてしまったらどうしよう。どうかマクワさんからの返事ではありませんように! そう3回願ってメールを見た。

『力になれてよかった。写真ですがかわいいと思います、カオさんも、ゴンベも』

カオはザングースのぬいぐるみを抱き締めて、胸が苦しくなった。

「マクワさん……」

今日は念願のゴンベを捕まえることができて最高の気持ち。ゴンベを抱き上げようとしたら、さすが100キロ越えのポケモン、とても抱き上げられなかった。それでも、心では抱き上げた。

マクワはファンが多いことで有名だ。本当は行きたいところはもっとある。だがファンの目があるためにそれはできない。もっと近寄ることができたらいいのに……

「ゴンゴン! ペチャペチャ」
「ゴンベ! スマホは食べちゃだめ!」

“でんわかけるろと〜!”

「ええ! だめだめ、どこにかけてるの!」

スマホを口にしてしまったゴンベからスマホを取り返すと、ロトムスマホは勝手にピピピ。どこかへコールが鳴っている。画面を見るとそこには『マクワさん』と文字がある。間違えて交換しただけで、かけたことなんてないのに!

慌ててスマホを切ろうとすると、向こうが先に出てしまった。

『は、はい。どちら……』
「ごご、ごめんなさいマクワさん!」
『え! あ! カオさん!?』

驚いた様子のマクワの声に頭はぐるぐるとパニックを起こす。そりゃそうよ、かけたことなんてないもの! カオは泣きそうになりながら間違い電話を説明する。

「ゴンベがスマホを口に入れちゃって! そしたら間違えて、電話がかかってしまって……すみません」
『間違い、ですか』
「(怒ってる!)気をつけます、それでは……」
『き! 切らないで!』

マクワの大きな声で、びくりと肩が跳ねた。

『まだ話したいと思っていました。話しても、良いですか』

「はい」と答えた。電話で良かった。きっと自分は真っ赤で、とんでもなく喜んでいる顔をしているに決まっているのだから。