納得する
前髪を直す。今日はカオと会う晴れの日。
「山登りもすっかり慣れましたね」
「は、はい」
握られた手、それは以前のような助け舟の手でなく、今日はずっと繋がれている手だ。そんなに危なっかしいだろうかと思っていたカオも、慣れましたねの一言に考え違いなことがわかった。それなら、なぜずっと…?
「マクワさん、あの」
「ん?」
「今日はどうしてずっと手を繋いでいるんですか?」
「は」
マクワが固まっている、ということは変なことを聞いたということだろうとカオは察した。
「言いましたよね、写真のこと」
「わたしの写真を持っていて良いかの話ですか?」
「ええ。カオさんは良いと……」
「言いました、けど……」
それが何、どうしたというのだろうとカオは目をぱちぱちする。
「鈍い」
「ええ!?」
「ぼくが言った言葉の意味、まさか理解していないとは」
「意味、とは……」
「ぼくも好きだということです」
「す」
驚いてバランスを崩すとサッと手が出て支えられた。
「マ、マクワさんのこと好きだなんて言ってませんよ!」
「な……あんな写真を持っていて好きじゃないだなんて言えますか!」
「それはそうですけど! いえ、だから、だからその……ファンとして、なら、持っていても……その」
ふむ、とマクワはカオから手を離した。
「ぼくは一人の女性として、カオさんが好きです」
「はっきり言わないでくださいよ……」
「はっきり言わないと伝わらないことがわかりましたから。カオさんは、どうですか」
「好きです」
「ファンとして?」
カオは首を横に振る。それにマクワはにこりとして、再び手を繋いだ。
「ぼくのファンはこわいですよ」
これからうまく隠れていかなきゃ、カオはそう思いながら黙って頷いた。