ご褒美

「今日のお弁当です!」
「頼んでいませんよ……って、これいつもの袋じゃない」

マクワが渡されたのはいつものビニール袋ではなく、巾着袋だった。確認のために中身を見ると、ハンカチで包まれたお弁当が入っていた。

「手作り」
「はい」
「カオさんが?」
「はい」

お弁当を。ぼくに。
ジーンとしていると、今日もジムリーダー頑張ってくださいねなんてサンサンと輝きながら言われてしまった。サングラスをかけていてもなおこの眩しさ、両思いになっても笑顔には弱いものだ。


今日のチャレンジャーはとても張り切っていたのだが、マクワの「今日のぼくは強い」に尻込みして負かされてしまった。インタビュー人はすごい気迫でしたねと何も知らずに話しかけていた。

『今日も勝ったそうですね!』
「当然です。負けていてはカオさんに顔向けできませんから」

試合後、いつも控え室で電話をしてる。今日も勝てたことを報告できて良かった。

『次にまた勝ったら連勝のお祝いしましょう。マクワさん、何か欲しいものとかありませんか?』

どきりとした。欲しいもの、というものはこれと言ってない。だが、欲しいご褒美はある。

「それなら、カオさんとデートがしたい。山でも家でもなく、外で」
『で、でも見つかってしまうと……』
「どこか遠くの街に行けば良い。それに見つかったら見つかった時です。その時は、ちゃんと紹介させてくださいね」

その返事は『はい』が緊張で『はひ』になっていた。カオは行きましょうねと淡い期待でとろけそうな声になっていた。

次の日の勝負にマクワは当然のように勝った。最近のチャレンジャー泣かせのマクワに、インタビュアーも興味が深々であったが、マクワの答えはいつも負けられないと言うだけだった。