厄日だ!
「マークワー!」
手をブンブンと振って近づいてきた女性が一人。その声にギョッとして振り向いたマクワは大きく目を見開いた。
「か、母さん!」
「あんたこんなところで何してるんだい」
白い服に身を包んだ女性はメロン。雑誌で見たことがあるが、本物を見るのは初めてであった。
「マクワくんのお母さん?」
「ま!」
カオが驚いていると、メロンも驚いた様子で近づいて来た。
「彼女ができたの! あんた、へえ、ねえマクワ!」
「ちょ、ちょっと母さん!」
デパートのレストランでむくれるマクワと、ニコニコのメロン。おいしいねえと笑い声をかけるメロンに、そうですかと塩対応のマクワ。ふたりを交互に見て、気まずいなと俯くカオ。
「母さんはどうしてここに。まさか、つけて来たんじゃないでしょうね」
「まさか! ホウエン地方は氷タイプの修行の地で有名だよ」
あんたも小さい頃来たことあるじゃないと昔話を始めるメロンにやめてくれと怒るマクワ。メロンは懐からこんな頃もあったと写真を出す。マクワの小さい頃の写真を解説しながら見せる。
「もー母さん!」
写真かわいかったなと内心思いながらまた二人を交互に見る。よく見れば髪とか、顔とか、よく似ている。マクワくんお母さん似なんだと一人笑いそうになるのを堪えて、カオはジュースを一口飲んだ。
そんなこんなあって、一日ついてまわったメロンは夕飯まで一緒に食べて満足して帰って行った。マクワはずっと仏頂面で、まだ帰らないのかはやく帰らないのかとぼやいていた。
「マクワくん、今日は楽しかったね」
「そうですかあ……?」
「お母さん良い人ね、おもしろい人」
「そんな良い人では……」
「あ! あとマクワくん、お母さんと似ているから髪をピンピンにするのね! かわいいのにどうして髪をいじるのか考えていたけれど、んふふ」
カーッとマクワは赤くなって、しばらくまたむくれていた。ホウエン地方にはしばらく来られないなと海を眺める。海にホエルコの姿が見えるとヒャイヒャイとカオは喜びマクワの手を振り回した。