バシャバシャ

ユカタヴィラの貸し出しを利用し、カトルとエッセルとカオは着替えをする。

「どう……?」

着替えたユカタヴィラの袖で口を隠しながらおずおずと尋ねるカオ。普段と違う彼女のヒラヒラに顔をそらす。そらしてはいけない、しっかりと見て言わなければならないとわかっているのに、どこか恥ずかしくシスはそのまま答えた。

「な、なかなか良いんじゃないか」
「本当? うれしい、一緒に周ろうね」
「……っ」

腕を引っ張るカオははにかんで、腕を引っ張られるシスは言葉が出ないくらいに照れている。ユカタヴィラには不思議な魅力があるものだ。

「シス、御饅頭おいしい」
「そうか」
「食べて。はい、口開けて、あーん」
「なっ、あ……あーん」

普段なら拒否したかもしれない『あーん』もすんなりと受け入れてしまったシス。うまいなと言えば、カオはふにゃりと嬉しそうに笑う。それに見惚れていれば、後頭部をカトルのアイアンクローが襲う。

「調子に乗るなよ。ベタベタしてんじゃねえ」
「ぐ……」

カトルはデレデレとしているシスが気に食わないようで、カオにバレないようにそう囁く。

「足湯もあるみたい。行こう、シス、ね?」
「お、おお」

手を引かれるままシスはカオに連れられて歩く。前に来た時も楽しかったことに間違いはないが、今は少し違う気持ちも混ざっている。きっと好きな人と楽しいということは、仲間と居る楽しいとは少し違う気持ちがあるのだろう。

足湯に入ろうと誘われ、靴と靴下を脱ぐ。脱ぎながらシスは横目にカオを見ると、カオも裾をたくし上げていた。ついあらわになったカオの脚を凝視してしまい、ゴクリと固唾を飲む。入ろうと声をかけられて、焦り目をそらすと足湯にゆっくりと脚をつけた。

「足だけなのにポカポカするね」
「ああ。艇にも欲しい設備だな」
「うん」
「こうして居ると、団長たちが言っていた楽しいということが……わかるような気がするな」

椅子に置いていた手にシスが手を重ねてきた。驚きカオはシスの方へ顔を向けるが、シスはこちらを見ておらず、真っ直ぐに前を向いている。湯のせいで熱いのか、やはり慣れないことに照れているのか、シスの横顔はほんのり赤かった。

「シス、ありがとう」
「何のことだ」
「何のことも、ぜんぶ、ありがとうってこと」

フンと鼻で返事をして、シスはどこを見ているのやら。カオも静かに足湯と、このゆったりした時間を味わっていた。