イタズラする

「ハロウィン、シスにお菓子あげる!」

はい! と、カオはカップケーキをシスに渡した。シエテはそれを見て「イタズラの方が良かったんじゃないかなー」とニヤニヤしていた。

「うるさいぞシエテ!」
「シス、イタズラの方が欲しかった?」
「ばかを言うな!」

本気にするカオにますますシエテはニヤニヤとする。シスはフン…といつものように言いながらも、カップケーキを大事そうに抱えていた。


それからしばらくしてからだ。シエテのところにコッソリとカオはやって来た。

「シスにイタズラするなら、どうしたらいいの?」
「あはは。ンー、シスくんは本当にお菓子の方が嬉しいと思うけど、たまにはおもしろいかもね」

シスが気を遣ったのではないかと心配になったカオは、シエテに教えてもらおうとしたのだ。シエテはウーンと顎に手を当てて悩む。

「みんななら仮面取っちゃえばーって言うけれど、カオちゃんがそんなことするわけないしね。チューでもしてみる?」
「それがシスが驚くこと?」
「ひっくり返るんじゃないかな」

わかったと頷くカオ。シエテは人ごとのようにまた笑った。簡単にそんなことできるわけは無いだろうとシエテは踏んでいたのだ。

そしてその頃、シスは周りはハロウィン仮装団員にあふれて居場所が無く、ネハンがいることで余計に居場所が無いような気分になっていた。大人しく部屋に居ることにしようと廊下を歩いていたところ、前からそそくさとカオがやってきた。

「カオ……」

シスが名前を呼びかけた時だ、ごめんねとカオが誤った。何のことだと思った矢先、仮面を奪われてしまう。カオが仮面を取るなんてと驚いていると、プチュと唇が重ねられたのだった。

ンチュー……ッ

仮面が無いせいで恥ずかしいのか、カオの長い接吻に骨抜きになっているのかわからない。シスの目は自然と上を向いて、どうにかカオから意識を逸らし、恥ずかしさから逃げようとしていた。

プハッ

唇が離れると、シスはやはり真っ赤で、仮面を取り返そうと動くこともできなかった。ただただ立ち惚けるだけ。「シス、仮面」と仮面を手渡しされるも、動くこと無く顔から火が出ていた。

「イタズラもしないと、シス、気遣ったのかもしれないと思って」
「そ、そ、そんなこと」

シス、とまた呼ばれると心臓がキュウとした。

「この……イタズラは、他のやつには……するなよ」
「うん、わかった」

ゆっくり仮面をつけると、シスはまだまだ治まりそうに無い心臓のバクバクに涙が出そうだった。