うすめ
グランとルリアは、近くに居た他の団員にも訳を話した。居なくなったカオを探しながら、グランはシスも探す。もしかするとシスのところへ帰ったのかもしれない。ルリアは艇に戻ったのかもしれないと艇の方へと戻った。
「シス! カオちゃん、来た?」
「カオなら随分と前に別れたが」
「戻ってないんだ。カオちゃん、俺たちといたんだけど、いなくなっちゃって。シスのところじゃないなら……」
よく探したのかとシスは問うた。一人でフラフラとしているのか、人混みに流されたのか、と考えてどうかそうであってくれと願った。迷子ならまだ救われる。何をしているんだと注意すれば終わる。もしそうではなく、何かあったとしたら。
「シスも探してくれる?」
グランに言われなくとも、とシスはすぐにカオの捜索に入った。
その頃、カオを攫った男は酔いのおかげで階段を踏み外し、大転倒していた。上から下まで転げ落ち、弾みでカオは隣の芝生へ投げ出されたおかげで擦り傷で済んだ。
「大丈夫ですか」
カオは転がり落ちた男の方へと近寄った。しまった逃げれば良かったのだと思うよりも、体が先に動いていたのだ。衝撃で酔いが覚めた男は、痛え痛えと腕を押さえる。カオは男の腕に手を当てると、魔法でポワポワと痛みを和らげた。
「少しなら、助けられる」
「逃げりゃ良いのに、テメェは馬鹿か」
「そ、そうなんですけど……でも、その、助けられる人は助けないと、わたしもそうしてもらったから……だから」
カオは三角巾の代わりに、十天衆風に作られたマントを使い腕を固定した。大きな男なら腕にはそれがピッタリで、無いよりはマシというくらいではあったが楽になった。
「人を呼びましょうか? 助けを借りないと」
「いいや。もう十分だ、俺は十天衆に手を出して返り討ちに合ったということにしておいてくれ。これ以上、恥をかかさないでくれ」
男の頼みにコクリと頷く。はやくどっかに行けとでも言うように、男は手で追い払うような仕草をカオに向けた。
追い払われたカオは物陰に隠れながら帰り道を探す。マントが無くなり、カオはあらわになった耳を見られないように慎重に移動をした。しかしハロウィンの中、人は多い。ああどうしたことか。
「シスがいてくれたら……」人混みの中に彼の姿を探しながらそう思う。
ポン、と手を置かれた肩が跳ね上がった。恐る恐る振り向けば、シスが「こんなところで」とため息をついていた。シスがいた! そう喜ぶと、バサリと頭からマントを被せられた。シスのマントだ。
「使え」
ぶっきらぼうに言われたが、カオは顔が緩む。