ペロリ
「惚れ薬……?」
シスは胡散臭いことを話すシエテに、冷ややかな眼差し。それでもシエテは怪しい小瓶を見せながら話を続けるのであった。
「ホンモノ、だよ。ありとあらゆる錬金術師が研究に研究を重ね、最近裏で出回っている代物さ!」
「くだらん。そんなもの」
「使ってみる? あ、でもシスくんは両思いだから要らないかなー」
「別にカオは!」
誰もカオちゃんとのことだとは言ってないけどとニヤけるシエテに、シスは顔を赤らめた。
とにかくこれは厳重に保管するとシエテは木箱に瓶を入れ、保管場所を探して艇を歩いた。団長ちゃんに相談しようかなと考えていたところ、カトルに出会う。惚れ薬の話をすれば「使う気じゃないでしょうね、軽蔑します」と罵られた。
カトルの言葉にどんよりしながら歩いていれば、次はフュンフに出会う。その箱はお菓子かと聞かれ、違うと首を振れば「つまーんなーい!」と何故かブーたれられてしまった。
その日、惚れ薬は倉庫へと置かれることになる。
そこへ怪しい影が一つ、惚れ薬を狙っていた。
「あの人のことだから、こんなことだろうと思いましたよ」
カトルである。カトルは木箱の中身を確認すると、蓋を閉めて辺りを回す。
「こんな泥棒みたいなこと……クソ!」
苛立ちながらも、カトルは惚れ薬を使ったとしたらと想像をしていた。人の心を操るだなんて、なんて浅ましい。絶対に普段ならやらないこの行為に、カトルは葛藤していた。胡散臭いこんな物に頼ろうとしていることも、泥棒みたいなことをしていることも、カトルは自分に苛立つ。
「カオさん……俺は」
「あ! カトルもそれねらってたんだ!」
葛藤するカトルに声をかけたのはフュンフ。それは絶対お菓子の箱だと思ったんだよねとフュンフは木箱を奪い、持ち出した。カトルは不思議と力が入らず、フュンフに奪われて少しホッとした。しかしホッとしたのも束の間、フュンフが持ち出したことに青ざめると後を慌てて追いかける。
フュンフは移動しながら蓋を開けると、なんだジュースかと小瓶をくんくんと嗅ぐ。もしかしてお酒かなあと心配になり、飲むか悩んでいると偶然にもカオが通りかかった。
「カオ〜! これ、お酒じゃないかなあ。ジュースだったら、飲んでみたいんだけどな」
フュンフは小瓶をカオに渡すと、カオは少し舐めてみればきっとわかると小瓶の蓋を開ける。少し匂いを嗅ぎ、カオは蓋についた液体を指で取った。
「ダメだよカオちゃん!」
大変慌てた様子のシエテが飲用を止めようと現れた時、カオがペロリと指を舐めた時、これがピッタリと重なった。