愛見える
「シス、こっちが部屋」
部屋までカオはシスの手を引く。
案内をされているだけなのだが、手を繋いでいると嬉しくも緊張した。立ち止まると、耳にガチャリと鍵が開く音が聞こえる。
「ドア開けたよ。シス、どうぞ」
「すまない」
部屋に入ると、上着をカオが引っ張った。
「上着かけておくね。シス脱いで」
「ン、すまない」
するり。カオに上着を預けると、また少しどきりとした。視界が奪われているだけで、カオに少し触れるだけで胸が跳ね上がる。
「シス」
呼ばれて何方だと気配を探るが、察知する前に背中からカオが怖めず臆せず抱きしめてきた。ビクウ!と毛が逆立つ。 カオだとわかっていても驚いてしまうし、何が始まるのかとまた心臓を跳ねさせてしまう。
「シス、ん……おかえり。抱きしめると疲れが取れる、でしょ。シスの目が早く治りますように」
シスはカオを抱きしめ返そうと向きを変え腕をガバリと動かすが、外れてスカリ。カオはとうに別のことを始めていた。早すぎるだろうとブツブツ考えながら、何をしているのかと問う。
「寒いかなと思って。シスに温かいもの待ってくるね。古いカップ、洗っておくから」
飲み干したカップをさげようとしているのか、カチャカチャと音が響く。気をつけろと手を伸ばすと、シスの手に当たったのはポヨと柔らかいものだった。
「ま、待っててね!」
「……ああ?」
シスが詮ずれば、それはカオの大事なところだったのではと察する。その後ものかはとカオに会うことは至難の業であった。