灯火
「シス、ほら! ここ!」
手を引っ張られ、触るとフカフカの布団。お布団掛けてあげるからねと張り切ったカオの方が聞こえる。布団に潜れば、フワリと布団が掛けられた。かと思っていれば仮面を奪われてしまう。アッアッと慌てるシスだが、「寝る時は外す、でしょ」とカオ。今どんな風に見られているのだろうか、恥ずかしい。ついシスはウウと情けない声を出してしまった。
「大丈夫、大丈夫よ」
前髪を掬うようにカオが頭を撫でてきた。ますます恥ずかしいと身構えたが、次第に気持ちが良くなってきた。母親が居たとしたら、このようなことをしてくれていたのかもしれない。そう考えると、少し心が暗くなってしまった。カオの手が離れると、布団を自分で掛け直し、整える。3秒の沈黙の後、シスはどうにも不安になり、暗闇に声をかけた。
「カオ、居るか」
「まだいる」
暗闇からの答えに、なぜだか胸を撫で下ろした。
「カオ」
「いるよ」
「頼みがある」
「なあに」
「ここで寝て欲しい」
「うん」
モゾリとカオが布団に入り込んで来る。それをシスはしっかりと抱きしめて、離すとどこかへ消えてしまうのではないかと考えたり、このまま目が治らなかった時のことを考えたりした。
「先に寝ちゃう」
「カオが寝たら、俺も寝る」
「うん」
そのまま順にトロリ、トロリと夢に向かう。この目に光が戻りますように。