幸せのスカーフ
ずっと小さな頃から一緒だった。
ある時助けた女の子、カオは大人しくていつも姿勢を小さくしていた。体に傷はなかったのに、耳は互い違いで傷が沢山ある彼女はいつもそれを隠している。1番に助けたのは小さな頃から一緒だったシンクで、なかなか元気にならないカオちゃんのことをシンクは気にかけていた。
「なのに声をかけないんだよなあ〜!」
オロロジャイアはそう言って突っ伏した。突然のことにグランはビクリと肩を跳ねさせる。まるで自分の心を読まれていたかのようなタイミングで放たれた言葉に、グランは心臓を走らせた。その場に居たカオも驚いたようで、目をまあるくさせていた。
「ね、ね、カオちゃんはまだここに慣れない? 不安とか、心配ごと、ある?」
切羽詰まったようにオロロジャイアはカオに声をかけた。カオは横に顔を振りながら、深くフードを被り直すだけで、余計に不安が増えているようにしか見えなかった。
駄目だよこのままじゃ、とオロロジャイアが考えていたと同時に、グランも同じことを考えていた。なるべく優しく、目線を合わせてグランはカオに微笑んで見せた。
「そうだ! カオちゃん、洋服とか興味無い? 今日は他所から女の子たちもいっぱい来るからさ。会ってみない?」
語りかけるグランに、カオは少し迷いながらも頷く。それからカオは、やって来たナルメアを中心に交流を楽しんだ。帽子やスカーフで耳を隠すことを覚えて、お菓子を食べて、好きなことを話して。この世界のカオは、女性との交流で笑顔が溢れていったのだった。
「今日はスカーフなんだ。かわいいね」
「う、うん。巻き方、教えてもらった」
「ねえシンクもそう思うでしょ?」
「何を身につけても同じだろう」
その言葉にオロロジャイアはガーンと口に出し(本当に口にする人いるんだとグランは寒い顔)、グランはシンクの横っ腹を肘でつついた。シンクはなんだと言わんばかりの顔で、グランとオロロジャイアを交互に見る。
「……フ、ウ、」
カオが何かを堪えてその場を立ち去ると、グランはシンクの背中を叩いた。