ポンテ

「何を食いたい」

そうぶっきらぼうに聞いてくるシンクに、カオは正しい答えは何だろうと考え込んでしまった。自分が食べたいものが、相手の食べたいものとは限らない。答えると嫌な顔をしたり、断られたりするかもしれない。

「わ、わた、し、なんでも……」
「なんでもは無しだ。何か言え」

ビクッと思わず跳ねる。何か、何かないか、とカオは考えを巡らせて、やっと出た答えがオムライスであった。特別に好きな食べ物では無いが、他にも浮かばなかったのだ。

オムライス専門店と看板を掲げているものがあり、この店に入ろうと決めた2人は外と中のギャップに驚愕する。外面はシックな雰囲気であったのに、それはもうピンクピンクで、フリフリの少女漫画のような世界観。

「シ、シンクくん、な、なんか、ごめん……」
「俺は、構わない」

この雰囲気に不釣り合いなシンクに、思わず謝ってしまう。

「カオは嫌いか?」
「う、ううん。実は、ちょっとだけ好き。かわいいの、照れ臭いけれど」

えへ、と笑う。カオはお店の何もかもが物珍しく、皿まで褒めてはまた笑っていた。

「白い色って、好き。お花の白、素敵でしょう」
「カオによく似合う色だな」
「え……」
「に、似合うと思うぞ」

カオがありがとうと微笑むと、フンとシスは照れ隠しに目を逸らす。

「シンクさん、今日は買い物ありがとう。わたし、なにも、て、つだえなくて、だから、助かった」
「俺は何も」
「ううん。シンクさんはすごいね、強いし、しっかりしてて、迷わない。いっぱいすごい。あと、あと、手が大きい」
「なんだ、急にそんな」
「あと、あと、あと、かっこいい!」

ボシュ!
シンクはヤカンのように沸騰した。カオがそんなに突然褒めるものだから。大粒の汗が出て、心臓が大きく脈打つ。これは……

「風邪……?」
「風邪? シンクさん、風邪ひいてるの?」
「わからない……」

風邪なら早く帰ろう、とカオは足早にグランたちの元へと戻るようにシンクを引っ張って行った。

オロロジャイアたちが何かあったかとたずねると、シンクさんが風邪をひいたと報告を受ける。皆、何だそれはとポカンとする他なかった。