attaining the impossible

絶対にここで船を停めろ!
それが何週間も前からキラーが出していた命令だった。航海士はプレッシャーで腹を壊す始末。

「なんでこんな何もねえ島に……」

キッドはため息と共にストレスを吐き出した。そのため息とストレスを吸い込み、キラーは張り切り胸を膨らませる。

「この島は花市場が有名だ。そこでカオに花束を買う。バレンタインの当日、40本のバラだ」
「邪魔くせえ〜」
「キッドにはわからんさ。言っとくが、何人もおれを止められないぞ」

40本のバラには真実の愛を誓う意味がある。プロポーズに1番選ばれている本数、らしい。キラーはカオの喜ぶ顔を想像してホワッと顔が緩んだ。

船は夜間に到着。キラーはすぐに行ってくると飛び出して行った。まだ店は開いていないぞと叫ぶキッドに耳を貸さず、1秒でも早くバラを買うためにキラーは船を降りて行った。


「キラーさんはどちらへ?」

朝食を用意していたカオはオムレツを取り分けながら船員にたずねる。

「さあ。夜に飛び出して行ったきりで。また武器商人とでも会ってるんじゃないですかねえ」
「そう……」

キラーが居ないこの時を船員は楽しんだ。思いっきりカオに甘えてやった。いつもならば、おかわりを貰うだけで物凄い睨みつけられるのだから。