2
「ねえマスク」
カオはゴールドマスクの手を探し、見つけると握りしめた。
「な…どうしたんだよ」
「なんとなく」
カオを見た後、すぐに顔を前に戻すマスク。
試合後のメンテナンスを終えるといつもこうだ。カオは、なんとなくとか、理由はないけれどとか言いながら手を握ってきた。
「俺、前みてえに怪我なんかしねーよ。もうラフプレー、しねえんだからな」
「でもマスク、強制引退の時も、新しいシルバーキャッスルとの試合でも、怪我してたでしょ」
たしかにあの時、カオは泣いていた。泣いているところは見たことがなかったのに、やっぱり人間なんだなと思う瞬間であった。
「マスク、あのね」
「なんだ」
「マスク頑張りすぎなところがあるよ。良いことだけど、でも、無事でいてね」
「そんなヤワじゃねえ」
「知ってる」
マスクに向けられた顔は優しい顔で。マスクはなんだかムズムズした。
「でも、マスクはラフプレーしてても良かったかなって思う時があるの」
「な!そんな時あってたまるかよ!なんだよそれ!」
「だって優しいマスクはモテるでしょ。それは困る」
どうして困るんだろうかとマスクは聞けなかった。聞けば何か、今までの答えが出てくる気がして。マスクはカオを好きと言えなかったし、認めたくもなかった。カオから好きとか、嫌いとか、そういったことも聞きたくなかった。
何故だかこわかった。そんなことを考えたこともなかったし、初めての感情はこわいから。
「マスク、また明日ね」
「ああ」
「また来ても困らない?」
「困らせたことないだろ」
「ありがとうマスク」
自分の気持ちに向き合えるまではまだまだ時間がかかりそうなマスクの話。
いつ好きって伝えても良いはずなのに、マスクの心はまだまだ成長過程だ。