3.5
「はあ…」
ゴールドマスクの深いため息が部屋に悲しく響いていた。
あと少しでカオにキスできたのに。
そしてデートもできたはずなのに!
「はあ………」
また深くため息をついた。
あの時のカオはかわいかったし、とても女らしかった。いつものように言い争いをして別れてしまったため、どう会えばいいかと考える。
「アイツ…なんか好きなもんとかあんのかな…」
カオの好きなもん…アーム兄貴か?と考えるが、いやいや兄貴はあげられねえ!と考え直した。
「だからって聞きに来なくても」
「わ、わからねえんだから仕方ねえだろ!」
マスクは考えてもわからないと、直接カオに聞きにきたのだ。そもそも会うきっかけを作るためにサプライズで渡すはずであったのだが、マスクは少し行き当たりばったりなところがあった。つまり、考えることが苦手であった。
「カオの好きなもん、教えろ!」
「そんなの聞いてどうするの」
「いいだろ別に!教えろ!アームの兄貴は無しだぞ!やれねえから!」
何の話をしているのやらと思いながらも、マスクは真剣に聞いているようで。カオは真剣な顔のマスクに少しどきりとした。
「好きなもんのひとつやふたつ、あんだろ!」
「…マスク」
「だから教えろ」
「マ、マスク」
「好きなもんねえのか?やっぱり兄貴が一番好きなもんなのか?」
問い詰められたカオは、震えながら、真っ赤になりながら、叫んだ。
「だからマスクが好きだって言ってるの!もう!何回も言わせて!恥ずかしいでしょ!」
「え!な、俺?!」
「…ちゃんと好きなもの言ったけど、それが何」
マスクはまさか好きなものをプレゼントしようと思っていたとは言えず、思考が停止した。
「そこは、だって、俺は…」
「何」
「俺はそんな、嫁に…カオ…心の準備が…」
モゴモゴと言うマスクの言葉が聞き取れないが、カオはひとまずまたマスクに会えて嬉しいと思っていた。態度にはうまく出せていないが、本当は話せて嬉しい。
「前は、ごめんね」
「べつに謝ることねえだろ」
「ま、また別の日に、その…きすしてくれる…?」
マスクは頷くと、初めて見るしおらしいカオの顔をメモリーにしっかりと記録した。