「ね、君は?僕ピーター・パーカーっていうんだ!」
「ええと、俺はナマエ」
「ナマエかあ、よろしくねナマエ!うわあ、僕同年代の友達あんまりいないから、君と知り合えて嬉しいよ!」
「あはは、よろしくねピーター」
「あー…いいかな?」
「あっごめんなさいスタークさん!僕嬉しくって…、ナマエを紹介してくれてありがとう!」
「それは何よりだ。ついでに言うとそいつ、20歳過ぎてるぞ」
「えっ」
「あはは……なんかごめん…」
こんな会話からはや数週間が経った。何しろアベンジャーズのあのNY決戦からだいぶ経ってるので、三十路とまではいかないがもう俺もそれなりの年齢なわけで。若く見られたのが嬉しいような悲しいような微妙な心境だ。初対面で見事にピーターに同年代だと勘違いされてしまったという事件はあったけれど、ピーターのコミュ力が凄まじく高いおかげで俺たちは初対面にして打ち解け更にお互いの連絡先も交換し今では某無料メールアプリで楽しく会話している。こっちの高校生ってなんて積極的なんだ…。ピーターはメールでもめちゃくちゃ元気で、よく遊びにも誘ってくれる。俺の予定がなかなか合わなくてその度に謝っていたのだが、さすがに何度も誘ってくれる彼に申し訳ないので今日無理やり予定をこじ開けた。そして現在進行形で待ち合わせ場所に向かっている。そしてその間にもピーターとメール中だ。この前ピーターを紹介してくれたスタークさんに会って今日遊ぶことを伝えたら、「もうそんなに仲良くなったのか」と驚かれた。うん、俺も驚いてる。
「(ほんと、元気だなあこの子…。もはやメールの文面が眩しい…)」
アプリの文面をぼんやり見ながらそう思った。俺にもこんな時代があったなあ、と遠い目で思い返すと同時に年取ったなあ、となんか悲しくなった。あああの頃が懐かしい。ピーターはメールの中でよく略語を使ってくるので、毎日なんだコレ…と思いながら調べているから俺の返信が毎回遅くなりがちになる。自慢じゃないが一時期メールの遅さではスティーブとタメを張っていたくらいだ、ただでさえメールの文面を考えるのが大変なのに、意味の分からない略語も並べられたらパンクする。さすがにLOLとか有名なのは分かったが、KTHXBIとかB4とかBCNUとか見たときは暗号かと思った。とそんなことをスタークさんに話したら「もう何年もこっちにいるのにまだ慣れないのか?老人みたいだなナマエ」と笑われた。うるさい、あんまりメールしないんだからしょうがないだろ。
とまあそんなことを考えているうちに、待ち合わせ場所の駅前に着いたわけで。良かった、約束の時間の10分前だ、時間に余裕を持って来てよかった。休日だし、この人混みじゃあお互いを探すのに時間がかかりそ「ナマエ!」
全然時間かからなかった。
「ピーター、久しぶり、っおお」
「久しぶりだねナマエ!会えて嬉しいよ!」
満面の笑顔でピーターが手を振りながら走ってきて、そして俺にハグしてきたので俺もハグし返す。うーんやっぱり元気だなあ。
「元気だった?」
「うんもちろん!ナマエも元気そうで何よりだよ!良かった、なかなか僕とナマエの予定が合わないからさ、もう一生会えないんじゃないかと思ったんだよー!」
そんなことを言いながらピーターはきらきらとした笑顔を俺に向けた。
そういえば、遊びに行こうと言われただけで何をして遊ぶのかは聞いてなかったな。
「で、今日は何するんだ?」
「…ええと、何しよっか!」
「………」
…ピーター曰く、俺と遊ぶプランを考えすぎて一つに決められなかったらしい。
かわいいなこの子。
20160603