ニュートから手紙が来た。

「ナマエ、手紙じゃん。またニュートから?」
「うっせえニヤニヤすんな」
「幸せそうでなにより」
「今すぐ黙らねえと吹っ飛ばすぞ!」

ニュートからの手紙が来る度に同級生たちからのニヤニヤしながらの冷やかしも毎度のことで、その度に俺が奴らをぶっ飛ばしたくなるのも毎度のことだ。いい加減ほとぼりが冷めてほしい。あれから結構経ってるというのに。はあ、とため息をついてニュートからの素朴な便箋を開ける。



親愛なるナマエへ

だんだん寒くなって来たけど君は元気かな?
僕は今魔法省の魔法生物規制管理部の屋敷しもべ妖精転勤室で働いてるんだ。退学処分になってからすぐに働くことができたのは幸運だけど、でもここはやることがなくて退屈極まりない場所で………



「『毎日魔法動物のことを考えてる』……」

ニュートからの手紙はもう何通も来ているが、その手紙に魔法動物のことについて書かれていないものはない。しかもそれが長い。今までもニュートという素晴らしい魔法動物オタクのおかげで魔法生物飼育学の成績は良かったけれど、この手紙のおかげで今や俺は最早魔法生物飼育学においてはトップの成績だ。

「(毎回毎回長いんだよなあ…俺宛の手紙なのに俺に対する言葉が全然ない…)」

まあニュートのことだ、大体予想していたが、手紙の上でもヘタレを発揮するのだろうかこいつは。今回の魔法動物はニフラーとかいうキラキラしたものが大好きな動物だった。ご丁寧にもニフラーのスケッチを添えてくれている。見た目的には好みだな…かわいいし、とぼんやり考えながら手紙を読み進める。


………このニフラーっていう動物は、その特徴から宝掘りのためによく小鬼が飼ってるんだ、………君に会いたいな


「えっちょっと待って唐突!」

びっくりしすぎて思わず声に出してしまった。なんだなんだという感じでその場にいる奴らが俺を見たので慌ててその辺にある教科書で顔を隠しながら手紙を読み直す。

「(まじでこのくだりからのこれ……?!)」

いやだって小鬼がニフラーを飼ってるっていうくだりからのいきなり「君に会いたいな」?!話が繋がってなさすぎてときめきが半減したんだが?!と思いつつ、ゆっくりと続きを読み進める。

…魔法動物のことを毎日考えてるって書いたけど、君のことを考えない日もないんだよ、毎日君の色んな表情や声や香りを思い出して、僕の隣に君がいない寂しさを埋めてるんだ。だから、早く君に会って、君に触れて、君に寂しさを埋めてほしい
クリスマスが待ちきれないよ

愛を込めて


「………………」

ゆっくりと手紙をたたんで、便箋の中に仕舞う。
そしてテーブルに突っ伏した。

「……………………反則だろ…………」

そのあと同級生に顔がトマトみたいに真っ赤だとニヤニヤしながら言われたので、容赦なくぶっ飛ばしといた。先生に見つかって減点されたけど、そんなの気にしない。

…早くクリスマス来ないかな。


161208

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