収録のために楽屋に向かう途中、角を曲がったら真衣の姿が見えたので、いつものように駆け寄ろうとしたら。
「えっ…」
真衣の奥にもう一人、男性スタッフの姿が見えて思わず足が止まった。
どうやら男は真衣の連絡先を聞き出そうとしているらしく、それが分かった瞬間、俺の足は勝手に動いていた。
「真衣〜〜〜!!!」
「っきゃ、さっく…!?」
真衣の背中に飛びつけば可愛い悲鳴が聞こえて、ちょっとニヤけてしまう。
でも今はそれより、目の前の男だ。
俺は真衣に抱きついたままで尋ねた。
「何話してんの〜?」
なんていつもの調子で言えば、男が小さい声で「連絡先を…」なんて言うから。
俺は目一杯の“笑顔”を顔に貼り付けて、男にはっきりと“拒絶”を伝えた。
「あー、すみません。ウチの姫、限られた人としか交換しないんですよ〜」
「えっ…」
「なので、連絡先は諦めてください!じゃあ行こ、真衣!」
男の返事なんか聞かず、真衣の手を引いてその場を立ち去る。
俺の“笑顔”、ちゃんと効いたかな?
“目が笑ってない”役、結構得意だからさ、俺。
次近付いたら、“何するかわかんない”よ?
……にゃはは、あくまで役の話だけどね!