スタジオの廊下を歩いていると、真衣の姿を見つけた。
けれど彼女の前には男性が立っていて、何やら真衣は困り顔。
今の俺はきっと、すごく険しい顔をしているに違いない。
「ごめんなさい、二人はちょっと…」
「俺、すっごい良いお店知ってるんだよね」
落ち着いて、冷静に、スマートに。
ここで事態をややこしくして、真衣に今後影響が出ることがあってはいけない。
「お疲れ様です」
「あ…涼太」
あくまでいつも通りを装って声をかける。
「割り込んですみません。ウチの姫が困ってるように見えたので」
「あ…えっと、」
「真衣、大丈夫?」
何か言おうとする男性を遮って、真衣に尋ねた。
うん、と真衣が頷いたので、とりあえずは一安心。
もし大丈夫じゃないようならこの男性ともっと話をする必要があったけど、大丈夫ならもうこの場に用はない。
「ならよかった。もうお話いいですよね?」
「え…あの、」
…ああ、しつこいな。
真衣とご飯に行ける未来はもうないんだから、素直に諦めてほしい。
とにかく真衣をこの場から引き離したかったので、強引に会話を終わらせることにする。
「それじゃあ行こっか。…では、失礼します」
真衣の腰に手を回して歩き出す。
俺、ちゃんと笑えてたかな?
真衣のことになると冷静さを失いそうになるから、気を付けないと。
なんて思いながら、真衣の身体をさらにぐっと引き寄せた。