楽屋へ向かう途中、廊下を曲がったら真衣ちゃんの姿が見えた。
けど、彼女の前には知らない男性が立っていて。
身体は勝手に走り出していた。
「真衣ちゃん!」
「蓮?」
包み込むように背中から抱きしめると、真衣ちゃんがきょとんとした顔で振り向いた。
可愛い…って、今はそんなことじゃなくて。
「真衣ちゃん大丈夫?何もされてない?」
真衣ちゃんの身体を振り向かせて肩に手を置いてそう聞けば、「されてないよ」って。
嘘をついている目ではなさそうだし、とりあえずは一安心。
よかった、と呟いてから、俺は目の前の男を睨み付けた。
「…で、真衣ちゃんに何か用っすか」
「あ…いや、」
…「いや」?何それ。
特に用はないってこと?
用はないのに真衣ちゃんに話しかけたの?
「用ないんすか?じゃあなんで話しかけてたんですか?」
用がないなら、真衣ちゃんに近付く必要ないよね?
しかもわざわざ、メンバーがいない時に。
すると、俺のイライラを感じたのか、腕の中の真衣ちゃんが、躊躇いがちに小さく俺の名前を呼んだ。
その声に、ハッと我に返る。
しまった、怖がらせちゃったかな。
「あ…真衣ちゃんごめん。俺怖かった?」
「いや、そうじゃなくて…」
顔を覗き込んで聞けば、そこに怯えた表情はなくて。
怖がらせたわけではなかった安堵からなのか、無性にキスしたくなった。
「………ちゅーしていい?」
「え?」
真衣ちゃんの返事は待たずに、柔らかい類を両手で包んでキスした。
……あー、やばい。
真衣ちゃんの唇、柔らかくてすっげー気持ちいい。
一通り口内を堪能して、唇を離す。
ふと見ると男はまだそこに立っていたから、思わず、
「…………あれ、まだいたんすか?」
なんて言ってしまえば、男は謝罪の言葉を口にして、慌てて立ち去って行った。
一体何に対する謝罪だったのかはわからないけど、二度と真衣ちゃんには近付かないでほしい。
とりあえず、腕の中で顔を赤くして息を整える真衣ちゃんがめちゃくちゃ可愛いから、続きは楽屋でしようと思う。