「………ふっかってさぁ、」
「うん?」
テレビを見ていた真衣が不意に呟いて、俺は隣に座る彼女へ視線を向けた。
真衣の視線はテレビから外されないままで、その横顔を見て、やっぱり綺麗だな、なんて思ってしまう。
「……クレーンゲームやってる時だけは、かっこいいよね」
ぽつりと呟いた言葉に、俺の心臓がとくりと音を立てた。
俺と真衣が一緒に見ていたのは、俺が出演しているバラエティで、クレーンゲーム連続チャレンジという内容のもの。
俺は見事に五連続で成功させて、神業を見せつけたってわけ。
「ねえ、だけってなによ(笑)」
彼女の口から発せられた「かっこいい」という言葉は俺を褒めるものだったけれど、それと同時に、気になる点もあるわけで。
俺、いつもかっこいいでしょ?なんて普段の調子で言えば、真衣は俺をちらりと見て、そしてはっきりと言った。
「……いや、いつもはそうでもないよ」
「おおい!」
思わず声が出て、真衣の肩に顔を押し付けるようにぐりぐりしてやった。
「他にも俺のかっこいいところあるでしょ」
「たとえば?」
「やっぱ一番は顔じゃない?」
「それはない」
なんて辛辣なことを言いながら、真衣の口調は穏やかで。
こんなやり取りもしょっちゅうだから慣れてしまってはいるけれど、なんとなく今日は意地悪をしたくなって、彼女の肩に押し付けた顔を上げて、耳元でそっと囁いた。
「……抱かれてる時、かっこいいって思わないの?」
「っ、!?」
言えば彼女が慌てて体を引こうとするから、その腰に手を回してぐっと引き寄せる。
唇が触れそうな距離まで近付けば、真衣の頬がじわりと染まるのが分かって、思わず口角が上がった。
「ねえ、どうなの?」
「っ辰哉、!」
俺の名前を呼ぶ声に、もう完全に俺はスイッチが入ってしまった。
もう何十年も一緒にいて、何度かこういうこともしているのに、普段クールな真衣の反応がいつまでも初心で可愛くて、こんなのもう、止められるわけがない。
「っん、ふ…、ぁ、」
可愛い、愛おしい、好き。
真衣とキスをする度に、そんな感情が溢れ出す。
「…今日は俺のことかっこいいって思うまで、抱いてあげるね?」
「なっ…、ん、!っ、んぅ、…っ」
なんて言えばまた慌てて何か言おうとするので、その口を塞ぐ。
ぬるりと舌を差し込めば、びくりと彼女の身体が震えて、無意識なのか俺の服をきゅっと掴んできた。
ほらね、そういうところが男を煽ってるって、全然分かってないんだよね。
「…俺のかっこいいところ、いっぱい見て」
かっこいいって言うまで、今日はやめてあげない。
…いや、言ってもやめてあげられないかもしれないけど。
その時はごめんね、なんて心の中で謝りながら、俺はまた、真衣にキスを落とした。