「ラウールまた明日な!」
「うん、バイバーイ!」
今日の授業が終わり、声をかけてくれる友人たちに応えながら校門へ向かう。
今日はこの後Snow Man全員でYouTubeの撮影があるので、マネージャーさんが車で迎えに来てくれて、事務所へ向かう予定だ。
今日の企画も面白そうで楽しみだな、なんて思いながら校門へ到着すると、思いもよらない人物から声をかけられた。
「ラウ」
「えっ……、お姉ちゃん!?」
校門の脇に立っていたのは、なんとお姉ちゃん。
まさかの人物の登場に、思わず大きな声が出てしまった。
「なんでお姉ちゃんが…?」
「ふふ、今日は私がラウのお迎え」
「えっ!?」
お姉ちゃんが僕のお迎え?どういうこと?マネージャーさんは?ていうかこんな所で1人で待ってたの?
なんていろんな疑問が浮かんだけど、お姉ちゃんが行こ、って言いながら先を歩き始めるから、僕は大人しくそれについていく。
少し離れた所に車が停めてあり、お姉ちゃんが鍵を開けて、助手席のドアを開けてくれた。
「ん、どうぞ?」
なんて少し笑いながらエスコートしてくれて、それ男女逆のやつだよ!って思いながら、お礼を言って車に乗り込んだ。
お姉ちゃんも運転席に乗り込んで、慣れた手つきでシートベルトを締める。
そういえば僕、お姉ちゃんが運転するの、初めて見るな。
でも他のメンバーはきっと見たことがあるんだろうな…なんて思っちゃって、少し寂しい気持ちになった。
「ラウ、今日は学校どうだったの?」
そんな気持ちを察したかのように、運転しながらお姉ちゃんがいろいろ聞いてくれて、それがなんだか嬉しくて、今日はこんなことがあったとかこういうことを習ったとか、いろんなことを夢中になって話した。
はっと我に返って、喋りすぎたかな?なんて思ってお姉ちゃんの方を見ると、お姉ちゃんはニコニコしながら僕の話を聞いてくれていて。
赤信号の時なんかは、僕の方を見て優しく微笑んでくれて、それで僕も嬉しくなってまたたくさん喋っちゃって。
一通り喋り終えたところで、そういえば、と気になっていたことを聞いてみた。
「お姉ちゃん、なんで今日迎えに来てくれたの?」
するとお姉ちゃんは、んー、と少し悩む様子を見せた後、その理由を教えてくれた。
「……この前の取材で、さ。私との思い出を作りたいって、言ってくれたでしょ?」
この前、某雑誌の取材で、『メンバーとしたいことはありますか?』って聞かれたから、確かにそう答えた。
僕はメンバーのみんなより生まれも遅いし、出会ったのも遅い。
特に初期メンバーとお姉ちゃんとの間には、僕たち加入メンバーにはない深い絆みたいなものがあって、なんとなく寂しくなっちゃう時がある。
僕だってもっとお姉ちゃんと仲良くなりたいし、なんというか、僕だけに見せる顔とか、見たいなって思う。
だから僕も、他のメンバーに負けないぐらいお姉ちゃんとの思い出を作りたいなって思ったんだ。
「ラウだけだよ」
「…え?」
「学校帰り、車で迎えに来たの。ラウが初めてだよ」
僕が初めて。
その言葉がじんわりと、僕の心に染みていく。
お姉ちゃんが僕のことを考えて、僕だけにしかしてあげられないことを考えてくれたことが、この上なく嬉しい。
「……えへへ、めちゃくちゃ嬉しいや」
ああ、本当に好きだなぁ。
この気持ちがお姉ちゃんとしての好きじゃないことに気付くまで、あともう少し。