ひとりじめされるだけ


 チリちゃんのお布団の匂いを嗅いだことのある人間が世界にどれくらいいるのか知ったこっちゃないけど、今この瞬間、チリちゃんのベッドの上にいるのは私だけ。そばにいれるのも、声を聞けるのも、普段は決して誰にも見せることのないその扇情的な笑みを見られるのも、今はこの私だけなのだ。

「……なんや、ええことでもあったん?」
「っ……や、……ん、ぁっ」
 きもちいい。
「ん?言うてみい……ちゃんと聞いたるから」
「ん、……う、……っ」
 チリちゃんの手が、きもちいい。
 長くて白くて綺麗な手が、私の顔を可愛がるように撫でる、撫でる。それが頭や、顎下や、首の裏にゆっくりと移動していく度に、全部が全部性感帯になったみたいに良がってしまうのは、毎日のように触れてくるチリちゃんにそうなるよう教え込まれてしまったからで。もうひとつ同時に可愛がられている下の動きと連動して、断続的な痙攣が私を襲う。
「……っ、ぁ、……あ、のね、……ぅ」
「うん?」
「ち、ちりちゃ、……っ、……んっ」
 びくびく体を震わせながら、なんとかして声を出そうとするけど、ずっときもちいいのが続いてて、あたまがぜんぜんはたらかない。わたし、今なにを言おうとしてたんだっけ?わかんない、わかんないよ……。
「ん、……や、……」
 でもチリちゃんは決して私の言葉を遮らずに、これ以上ないってくらい優しげな顔で、ただ私のことをじっと見下ろしている。じっと言葉を待っている。そんな目でみられるとますます言葉がでてこない。
「ぁ、っ、……そ、の……、ん……と」
 も、だめかも。チリちゃんの手がきもちよすぎて何もかんがえられない。既に意識はおぼろで、まぶたは重く、目に優しいオレンジ灯ですら眩しく感じる。このまま、幸せの絶頂のまま、夢の世界へ旅立ってもいいかな……いいよね。
「……ん」
 自然とどこかへ吸い込まれるみたいに遠ざかる意識に従い目を閉じて、チリちゃんの手に擦り寄るように頭をコテンと預けたら、耳元で優しく囁く声が聞こえた。

「勝手にいくな、ボケ」

 その瞬間、それまでそこに挿れられていただけだったナカのものが、突如として振動を始めた。
「あっ、え、……!?」
 ヴヴヴ、と下から聞こえてくる機械的な音。な、なんで、それ、動くの。ずっと、ずっと動かなかったのに、いきなり震え出したことで急に強い刺激がナカを襲い、自分の意志とは関係なくビクッと足が飛び上がった。遠ざかっていたはずの意識があっという間に引き戻される。
「あっ、あ、……っやぁ、……〜〜っ!」
 そこにあるだけでもすごいのに、チリちゃんの手によってぐ、ぐ、と容赦なく奥に押し込まれるから、その度に奥の触れちゃいけないところに触れて、きもちいいのが全身を貫いて、体が跳ねた。ふとんを握りしめて、急にきた強い快楽に耐えようとするが、ぜんぜん力が入らなくてあんまり意味がない。
「まだ、これからやで」
「それっ、うごかすの、だめぇ……」
「だめ?何がや」
「だ、だめなものは、だめなの……!っあ、まって、だめ、やぁ、……う〜〜っ!!」
 たぶん、もう一時間くらい経ってる。一時間くらい、ただ、そこに挿れられていただけだったから、眠くなっちゃうくらい焦らしに焦らされた私のあそこは、ほんの少しの刺激でも達するのは十分だった。
「なんで、……なんでっ、うごくの、それ、なあに……?……やっ、あ、」
「何って、バイブやけど」
「……っ、ふつうの、やつじゃ、なかったの、びっくりしちゃった……」
 
「挿れるだけで死ぬほど良さそうな顔するんやもん、チリちゃんもこれ動くの忘れとった」
「わ、わすれてたじゃ、な、……っあ、まっ、やだ、やだ……いったん、きゅうけい、するのっ!」









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