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やば、めっちゃ可愛いの見つけちゃった。

「ユカちゃん?何見てるの?」
「ん?ああ、ツイッターだよ」

高校三年生、初夏。これから受験ってことで若干空気が澱んできた教室の中、堂々と休み時間にスマホをいじっているのは余程の自信家かその真逆のやつくらいか?まあこのクラスには推薦を考えている人が割といるようだから、たいして気を使う必要もなくスマホにかじりついている俺だった。
普段はインスタをメインで使っているけど、ツイッターはツイッターで面白い人ばっかりだから一度開けば飽きることはない。最初は暇つぶし程度に画面をスクロールしていたが、とあるツイートが目に入ってからはのめり込むようにその人のアカウントを遡る手が止まらない。その様子が面白かったのか、クラスメイトが通りすがりに画面を覗き込んできた。

「へえ〜?すっごいキラキラしてて可愛い〜!お洋服?この人が作ったの!?」
「みたいだね」

『あお』……さん。プロフ欄には単に「可愛いお洋服が好きです」とだけ書かれていて、年齢も素性も何一つ分からない。投稿は作品の服や小物の写真ばかりで、普段の呟きはほぼしていないようだ。
だけど、とにかく作品がすごく可愛い。和風からロリータ、ゴスロリ、パンク、エスニックまで、ジャンル問わず色々な“可愛い”を洋服として表現している。どれもこれも俺の好みで開いた口が塞がらない。これは今にも人気出るだろうな……実際、最近あがったばかりの中華風ドレスのツイートがバズって俺のところまで回ってきたんだし。ていうかこのレベルでフォロワー少なすぎるだろ。

「あ、この人同い年だ」
「マジ!?」
「ほら、今年の一月に17歳になったってツイートある。……インスタやってないのかな」

投稿頻度が上がったのも最近のようだから、もともとSNSは積極的ではないようだ。うわ、めちゃくちゃもったいない。ていうかこのネットの海で出会えてよかった。
一通り遡ったあと、また一番上まで戻ってくれば、ちょうどたまたま新しい写真が投稿されていた。ラッキーと思ってツイートを見ると、またもや可愛い中華風ドレスが。

“新しいお洋服できました”

前回と同じテーマのドレスのようだ。いや、たとえ同時に作り始めていたとしても、前回の投稿からまだ二週間余り。こんなめちゃくちゃ手のかかってそうなワンピースドレス、制作ペースどうなってんだよ。

「え、可愛い……欲しい……」
「あはは!ユカちゃん顔ゆるんでるよ!確かにユカちゃんこういうのめっちゃ好きそう」
「好き好き、大好き。あー!欲しい〜!」

額にスマホをくっつけてバタバタ足をばたつかせる俺。とりま特にお気に入りのワンピの写真保存しとこ……と、スマホに視線を戻すとまた新しいツイートが投稿された。

“今は忙しいから時期はかなり後になっちゃうけど、もし個展開くってなったら来てくれる方いますか……?展示品の販売も考えてます。場所は東京です!”

行くに決まってんじゃん。


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