花道と洋平の強さに、男たちは臆した。 強い強いと言われていたロン毛タンクトップ男も、花道には敵わなかった。三井という人も、洋平には敵わない。それを知って逃げ出そうとする乗り込んできた雑魚数名がドアを開けると、そこには赤木キャプテンが居た。 赤木さんは悲惨な体育館の状況をいち早く理解すると、その巨体を壁にして背後の先生達にこの状況を見られまいと必死で隠す。そして赤木さんが登場したことにより、体育館の空気が少しだけ変わった。そう何故か――三井という人の目の色が変わったのだ。 私はこの騒動の中で覚えた違和感をもう一度頭の中で整理する。どうして三井という人はそこまで宮城先輩……いや、バスケ部を目の敵にするのか。そして小暮さんがどうも三井という人と面識があるような口ぶりをする。 ――そして遂に私たちは、三井という男の過去を知った。 「安西先生………バスケが、したいです」 その後、この騒動は先生達に見つかってしまいバスケ部は問い詰められてしまった。だがそれは、洋平達の仕業ということに本人たちが嘘を付き、結果彼らの3日間謹慎処分で幕を閉じる。 三井さんは、バスケ部に戻ることになった。 「私も謹慎処分にしてくれて良かったのに…殴ったし」 「バカ、お前まで巻き込めねーよ」 「学校で洋平に会えないなんてやだーー」 放課後になってファミレスに集合し、やっと洋平と相まみえることが出来た私。今日会えなかった洋平分をこれでもかというくらいにくっついて充電中。 「ほんと清々しいくらいラブラブだよなお前ら」 「くそ〜〜彼女ほしぃ〜〜〜」 「俺ら居るの忘れてんじゃねーか?」 コイツ等も一緒だけど。 4人揃って謹慎処分を受け、服の匂いからしてパチ屋に行ってたのはすぐ分かった。私を差し置いて洋平と楽しく遊びやがって…。 「まあでも、アンタ達のお陰でバスケ部は救われたってことで……今日は奢ってやろう!」 「うお!マジで!?さすが名前ちゃん!」 「名前様ー!」 「よっ!名前の姐御!!」 「ただし1人一品ね!!」 3バカトリオは何だかんだ可愛い。 それぞれ好きな食べ物を選んで決めるのだが、ちゃっかりそこは単価の高めなガッツリとした料理を選んでいた。洋平にも遠慮せずにとメニューを差し出すが、彼は一番単価の安いデザートメニューを選ぶ。どこまでもカッコイイ男め。 「最近その雑誌よく見てるな?」 「うん、今のお気に入り!」 わいわいガヤガヤとしている中、私もくつろぐためにカバンの中から雑誌を取り出した。最近お気に入りのファッション雑誌で、どれもこれも可愛いけど高校生には気軽に買えないお値段のものが結構多い。だからいつもウィンドウショッピングならぬ雑誌ショッピングをしていた。悲しい。 「わ、このネックレスすっごい可愛い…!」 「おお、名前に似合いそーだな…って、コレ4万もするのか!?」 「ね、高校生には痛い値段よね…」 洋平も気になったのか顔を近づけて雑誌を覗いてきて、2人でペラペラと雑誌をめくっていく。その中でも一際可愛いネックレスを見つけてしまい、ほぼ一目惚れに近かった。物凄く欲しいと思ったが、値段を見て洋平と同じく私も顔が引きつった。やっぱり可愛いものは高いのね。 「はぁ…私もバイトしようかな」 「バイトって何するんだ?」 「えー、うーん……飲食店とかアパレルとか?」 「1人じゃ心配だな…」 「もー洋平、子供じゃないんだからー…って、ああ子供か私」 「そうだな」 まだまだ未成年なんだ私は。高校に入って一人暮らしになって一気に大人になった気でいたけど、そうか…。ヘラっと洋平に笑われてしまい、結局バイトの話はそのまま流れてしまった。 こうして他愛もないバカな話をして、私たちの時間は過ぎていく。洋平と2人きりの空間も好きだけど、やっぱり皆と居る空間も大好きだ。ずっと皆一緒に…なんてのは無理だろうと理解している、だからこそこの3年間を大事にしようと思う。 「明日はなにしてあそぼっか」 |