湘北高校バスケ部は、着々と勝ち進んで行った。 花道の公式戦初日は退場という結果になってしまったが、湘北は強い。リバウンド王と言われた花道の活躍はそれはそれは見違えるほど成長した。なんだか少し、遠い存在になってしまったかのよう。でも同時に退場王とも呼ばれて、そういうところはやっぱり花道だな…と小さく微笑んだ。 学校のない休日の試合は私たちも何度か観戦に行って花道たちの応援をした。その度に流川くんの活躍が目立ってきて、流川ファンクラブは現在増幅していくばかりである。 「苗字、行くぞ」 「は?」 まだまだ温かい春の陽気、学園生活も充実していた。 コレといって仲のいい友達がまだ出来ていないのは悲しいけれど、1人で寂しく〜というわけではないのでまあ良しとする。よく一緒に居る女の子グループと休み時間わいわいしていたのだけど、背後から先ほどの台詞が降ってきてそのまま腕を掴まれた。不意の出来事に驚いていると、私の後ろを見て私以上に驚く女子たちがいっぱい。 「流川くん!?」 掴まれた腕はそのまま引かれて立ち上がらされて、そして意味のわからないまま私は流川くんに引きづられる形となる。 「いや、もうすぐで次の授業始まるけど!?」 「………」 「行くってどこに!?」 「………」 返事しろ!!! 日を増すごとに人気が以下省略な流川楓に腕を引かれてるという図はかなり目立つ。いや、ただでさえ身長高くて存在感あるのだから余計目立っている。ズルズルと引きずられながら私は様々な生徒たちに見られていた。 「え、えーーーー…」 連れてこられたのは、学校の屋上。 あらまあ今日もいいお天気だわ〜なんて思った瞬間に授業が始まるチャイムが流れてハっと我に返る。流川くんはそのまま屋上にある建物の影になっているところに座り、そして私をジっと見つめてきた。 「流川くん?」 ジーっと、静かに、見つめられる。 一体何なのかと黙っていると、流川くんは右手で自分の隣をポンポンと叩くような素振りをした。これは……もしかして、もしかすると…… 「サボりの、お誘い…?」 「ん、」 マジか。 どうしようと考える私なのだが、流川くんのその鋭い視線が突き刺さるようにこちらを見ていた。そんなに見られたら穴が空くってほどに。耐え切れなくなった私は、足を進ませて流川くんの隣へと座った。 「なんか…この状況、変じゃ…ない?」 「…別に」 「そ、そうか…なぁ?」 どうしよう、なんか変に緊張するんだけど。流川くんとは確かにちょっと打ち解けた感あるけど、まさか2人きりでサボろうと誘われるほどとは思ってもみなかった。よく分からなさすぎるその行動に、ただ単に困惑する私。彼は一体どういう意図で私を誘ったのだろう?コミュニケーション力低そうだから大胆に見えるけど案外本人はそうでもないのかも……もうわけがわからない。 「ねえ流川く………寝とる」 いつの間にか、流川くんは壁にもたれて眠っていた。マジか。意を決して聞こうかと思ったのに…。 「仕方ない、私も寝よ…」 今の授業は確か自習だった気がする。だったらまったくもって気にすることはなさそう。もしかして流川くん、自習だからサボろうとしたのかな。だとしたら策士だ…侮れん。 「それにしても…いい天気…」 これは……眠れる…わ…。 |